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桃井が女子で、体重が軽いからっていうのもあるだろう。

けど、それでもびっくりするくらい簡単にお姫様だっこされ、桃井が驚いたような、ほうっと見惚れているような表情をした。

体勢を安定させるために、ぐ、と手でより強く抱き寄せられて、顔が近づいたせいか、身体が密着したせいか、その頬が更に赤に染まる。

それから、すぐに嬉しそうにさっくんの首元に腕を回して、抱きついていた。


「……っ、」


ドク、と心臓がうねる。

遠くでその一連の流れを見た女生徒達から、ぎゃーーーみたいな黄色い声が運動場で跳ね上がった。


「青島先生」

「あ、え、は、はい、…っ、」


名前を呼ばれた先生は、まさか自分に対して今この状況で何か言われると思っていなかったらしい。

大げさなほどにびくっとして、首がもげる勢いで頷いた。


「桃井さんの気分が優れないようなので、保健室に連れていきます」

「わ、わかりました」

「…授業のお邪魔をして、申し訳ありません」


謝罪とともに、心底すまなそうに瞼を伏せたさっくんの視線が、ちらっと他の生徒の方に向けられる。


「あ、いえ、それは勿論構いませんが、」


構わないと言っている先生の顔は、言葉とは裏腹に確実に狼狽えていた。おろおろしていた。

ぎゃーぎゃーうぎゃあああと騒いでいる皆の熱は収まりそうにない。

…きっとこの時間中、皆は授業どころではなくなるだろう。


「…宜しくお願い致します」

「へ、あ、は、はい…」


たどたどしく受ける先生。

何を宜しくされたのか、最早ひとりでこの騒ぎをどうにかできるのか、先生に同情するしかない状況だった。


「ふふ、流石咲人!本当の王子さまみたい!」

「…っ、動くと危ないですよ」

「咲人なら私を絶対に落としたりしないから大丈夫だもん!」


満足そうな笑顔を顔いっぱいに浮かべ、ぎゅうっと首元に抱き付く桃井を抱きかかえたまま、白衣を翻して歩いていくその姿を呆然と見送る。


………目に映すだけで

声をかけることすら、できなかった。

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