21

***


…身体が、冷たい。

血の気が引いてるみたいに、ひゅんって心臓が冷えて、全身の血という血が凍っている気がした。


「ほれ、ばんざーい」

「……」


ぼんやりしたまま、声に従って腕を上げる。
がばっと体操着と中のシャツを脱がされ、上半身が寒くなった。

でも、まるでこっちが夢なんじゃないかと思えるぐらい、頭のなかが別のことでせんりょうされている。

…こびり付いて、離れてくれない。


「じゃあ次ズボンな」

「…うん」


机に腰かけていたお尻をおろし、ズボンをずるずると下げられる。
途中で何故か不自然に何度もズボンを掴む手が止まっていた。

上履きを脱ぎ、踵からするすると全部脱がせてもらう。


「…ありがとう」


椅子に腰かけたまま、足元にいる正孝に、ぽつりとお礼を言う。

現在、誰もいない空き教室で着替えを手伝ってもらっていた。

いつもさっくんにしてもらってるから、情けないことに一人では着替えができなかった。


(…さっくんがいないと、何もできない)


それを思い知らされる。

実際にやろうとしてみたけど、ズボンを足先に引っ掛けたり、頭からシャツを脱げなかったりして、散々だった。


「礼はいらねーよ。…つーか、お前…、」

「…?」


つい今脱がしたオレのズボンを片手に、こっちを見ている正孝の目が、いつもと違う気がする。

ギラギラ?めらめら?みたいな雰囲気だった。


「…マジで肌綺麗だな」

「…そうか?ありが、と…?」


息が荒い。
喉をごくりと鳴らしてて、なんだか顔が普段より赤く見えた。

…なんだろう。


「正孝も熱あるのか?」

「っ、な、…ねえよ…っ、べつ、に…」


手を伸ばしてそっとおでこに触れると、余計に赤くなった。…ちょっと熱い、気がする。


「…ごめん。オレ、一人じゃ着替えられなくて、」

「あ、いや、本当に熱はないから心配するな。っつーか、お前、今上半身裸なわけ、だし、しかもパンツ、すけすけの、なんかレースみたいなついてる、洒落たやつって、厭ら、みえ、みえ、やば、」


歯切れの悪いことばと同時に、無駄に目線をあちこちさせている。もぞもぞしている。

あんまりにもどもりすぎてて内容を聞き取れない。
prev next


[back][TOP]栞を挟む