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かろうじでブリーフに対してなにか言われてるのだけはわかった。

…そういえば、体育の授業が始まる前も着替えさせてくれた時にすごいキョドっていたような気がする。


「…変?」

「変っていうより、ち、ちち、」

「ちち?」

「だ、だから、その、布薄すぎ、だし、しかも、なんかちんこが、思ってたより、でか、くて、かた、かたちが、エロ…ぎゃぁあああ…!!」


ガリガリガリ…!!


「ぁ、また、…っ、正孝を傷つけるなって言ってるだろ…っ、」


机の上にちょこんとおすわりしていた猫が、正孝の顔に張り付いて引っかき始めていた。

オレを着替えさせようとしてくれてる正孝を何度も攻撃しようとするからひきはがすのが大変で、しかも何回も窓から外に出してもすぐに戻ってくるし、結局本気で一度怒ってからは静かにしてくれていた。


けど、…

忠実にこの前のさっくんの言葉を守っているらしい腕の中のにゃんこに、もういいんだぞと言いたくなる。


(…オレとさっくんは何の関係でもなくなったんだから、傍にいる必要はないのに)


辛くなるから、今は…正直にゃんこも見たくない。

もう一度窓から外に猫を追い出し、顔に傷を負いながらも着替えさせようとしてくれてる正孝に凄く申しわけなくなった。


「…ごめん。ありがとな、正孝。大好きだぞ」

「っ、?!ぎ、ひぎが、?!」


ぎゅっと抱きしめて、感謝を伝える。


(…あったかい)


誰かの体温が近くにあるのってやっぱりいいな。


「おま、おま、が、だ、な…っ!?」


いつも冗談でしてくれって言われてたことをそのまますれば、真っ赤に噴火してぎーがーぎーがー壊れた機械みたいな音を出して発狂し始めてしまった。


――――――――


…正孝が正常に戻った後、ちゃんと全部制服を着せてもらった。

オレの脱いだ体操着を畳みながら、ごほん、と咳ばらいをする。


「…俺のことより、お前の方が大丈夫かよ」

「何が?」

「体育のときは大抵そうだけど、…『あれ』見た後からは特に…具合悪そう、だし」

「……」


……まぁ当然のように正孝に、さっき…つまり体育の時間に目の前で起こってた現実について詰め寄られた。

授業中、正孝だけじゃなく、他の皆にも何か知ってるんじゃないかって聞かれまくって、その人の多さと熱気に酔った。

くらくら眩暈がした。倒れそうになって、そこで正孝が連れ出してくれたのだった。


オレを庇ってくれた相手に黙ったままでいれるはずもなくて、知ってる限りで全部白状したら、へー、と案外どうでもよさそうな返事が返ってくる。


「なんで落ち込んでるんだよ。別にあの執事と恋人ってわけでもないんだろ?」

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