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***


「…っ、また……して、くれないの…?」


行為を終えてシャワーを浴びた後、上半身裸のままの彼は「しないよ」と困ったように微笑んだ。


付き合うことになって数か月。
……普段他の人と俺に『させた』後に、そういう行為をすることは求めてくるくせに、キスだけはめったにしてくれない。

今もそうだ。

キスをせがんだけど、いつも通り躱された。

……違う話題に変えられた。

じわり。痛みと苦しみでじくじくと侵食する腐敗を心臓に抱えながら、彼の端正な顔をこっそりと盗み見る。

と、



「泣きそうな顔してる」

「だ、って、俺、…さっき、いっぱい、が、」


言いかけて、震える唇を噤んだ。

他の人との行為は、優さんが望まなければ絶対にしないことだけど、それが恋人になるためには必要だってわかってて付き合うことを受け入れたのは…受け入れ続けているのは俺だ。

だから、そうされることを、『頑張ってる』、なんて、優さんに勝手に押し付けて、わがままを言っていいことじゃない。



「『が』、って何?」

「…なんでも、ない、」

「いいよ。言って?」

「…っ、」



優しく、心を蕩けさせるような声音。

頬に触れる綺麗な手に、俺を見下ろす…今まで見た誰よりも美しく整った格好良い顔に、いつだって虜にされる。
好きで、好きで、好きでたまらないのに、…彼は俺を大勢の中の一人としか見てくれない。



「が、頑張った、から…っ、」

「…うん」

「俺、いっぱい、他の人との、がんば、った、っから、」



だから、泣きたくなる。
胸が震えて、聞き分けのない子どもみたいに駄々を捏ねたくなる。

いつも、俺ばっかりで。

優さんが『俺』を欲しいと思うことなんて一度もない。ありえない。

……求めるのは、いつも……俺の方だけ。


涙目で縋りつく俺の視界は、もはや滲んで溢れてて、相手の顔は見えない。
だから余計に不安になる。
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