この短編は、前ページの続き的な何かとなっております。
※三輪くんも加古さんもかなり暴走してる
※百合要素あり
※三輪くんが髪フェチなのに加えて耽美主義に傾いてる
※変わらず出水が不憫
以上の要素がありますので、先に前ページをお読みいただいた上で、三輪くんと加古さんに何をされてもいいという方だけ下にスクロールしてください。

***

出水に、私達の秘密を見られて数日後。

第6位部隊の隊長・加古さんが、私達に興味があるのだそうだ。聞くところによると、加古さんは秀くんのチームメイトだったらしい。

「あなたが早織ちゃんね、」
「はい、そうです。いつも秀くんと仲良くさせてもらってます…」
「いいのよ。…それより、しばらくここにいさせてもらっていいかしら?」
「私は、構いませんが…秀くんは?」
「構わない。元々俺が呼んだのだからな」
「そうなの…今日は宜しくお願いしますね?」
「よろしくね、早織ちゃん。…はい、これ。私のおすすめのやつなんだけど、これをここに3回ほど噴射してくれる?」

加古さんがアトマイザーを渡してくる。なんの香りかは、わからない。
容量は2液量オンス…60ミリリットルで、注意書きなどは英語とドイツ語で書かれている。
言われるがままに、アトマイザーのボタンに指を掛けて、3回押す。
されど、何も香らない。少し後になってから香りだすタイプなのだろう。

「早織ちゃん、」
「…はい、」
「三輪くんのところに行ってきなさい、」

加古さんはそう言って、背中をとん、と押す。
戸惑うのも束の間、秀くんが私の手首を掴んで引き寄せた。

「早織、」

前のめりだった自分の体制を立て直し、秀くんの前に座る。
私のツインテールのゴムに手がかけられ、するりと容易く解かれてしまう。普段は誰かがいる前で解いたりはしないのに。
今見られているのは私の後ろ姿だけだから、それなら構わないということだろうか。

そのゴムを互いの手首に片方ずつつけ終えたところで、加古さんが私の髪を掬う。

「早織ちゃんは本当に可愛いのね…三輪くんが目をつけるのもわかるわ、」
「…違う。それを言うならば『美しい』だろう、加古さん」
「美しい…ね。耽美主義というやつかしら?」
「かもしれないな。加古さんは早織をもっと彩ってくれるのだろう?」
「ええ…そうね、」

「早織ちゃん、目を閉じててくれないかしら?」
「流石に…それは、」
「光を奪われた早織ちゃんが見てみたいの、」
「加古さん、ずっと閉じ続けるのは無理があるだろう?」
「目隠ししてあげればいいのよ、…これで」

加古さんの手には、秀くんのマフラーがあった。それを彼は受け取り、広げる。
私はこれからされることをわかった上で彼の服を軽く摘み、目を閉じる。

「…そうだな。…ほら、隠しててやるから、」

瞼の上を布が覆っていく。何故加古さんが持っているのかと思ったら、そういうことだったのか。

香水が今になってふわりと香り、頭の奥が揺らいでいく。
私は秀くんに縋り付くように、摘んでいた服を握りしめる。

「視界を奪われると、早織はこういう反応をするんだな、」

自分でも信じられないくらい、体が熱い。加古さんはわざとそういう種類の香水を渡したのか。
呼吸が乱れてしまう。

「…早織、どうした?」

少し冷たい手が私のほてった頬を撫でる。
そうじゃないの、それじゃ駄目。はやく、どうにかして。

「どうした、じゃ…ないわよ…っ!」
「上着、脱ぐか?」

暑がっているように伝わったらしい。確かに、間違ってはいない。
こくり、と頷いてみせる。

「…っ、」
「自分で脱げるか?それとも…脱がしてほしいか、」
「早織ちゃん、三輪くんに脱がしてもらう?」

秀くんも加古さんも、私の今の状態を把握していないのか。それとも、把握しているのを隠しているのか。
少なくとも加古さんは把握しているだろう。あの香水を渡したのは加古さんだ。

「…脱がして、」
「ああ、」

秀くんが上着のボタンに手を掛けて、外していく。肩に羽織られた状態になった上着は、加古さんの手で私の体から取り去られる。

「早織、…早織」

一度目は、手繰るように。二度目は、確かめるように。
こうやって、貴方は私を痺れさせるのね。

「…加古さん…見てる、のに…っ!」
「どうしたの早織ちゃん、そんなに私のこと意識しなくてもいいのよ?」

加古さんも、明らかに私の様子を見て満足しているんだろう。

「そんな、訳には…っ」
「大丈夫よ、私は眺めているだけでいいわ。…私だって早織ちゃんを可愛がりたいけど、それは三輪くんの特権だから」
「…っ、加古さんってば…」
「望さん、でいいわ。ね、早織ちゃん?」
「はい…望さん、」

そうやって加古さん――望さんに構われていれば、案の定、秀くんが望さんに妬く。

「…早織、お前はこちらだろう?」
「秀く…っあ、」

顎に指を掛け、私の返答を遮る。

「あら、私はお邪魔だったかしら?」

そう言いながらも、望さんは私の首に手を回す。翻弄されっぱなしで、私はもうどろどろになってしまっている。

そうしているうちにノック音が響く。そういえば、この間もそうやって遮られたっけ。

***

今日も俺は米屋を呼ぶ為、彼の隊の作戦室へ向かう。
この前、この部屋に行った時はかなり衝撃的な光景を見せつけられてしまっていたけど、そうしている場合ではない。
扉を何回かノックする。
今度はちゃんと扉が開いたのだが、それを開けたのは――

「…加古さん?」

俺と同じ射手の加古さんがいた。その先には三輪と、三川も。
どうして、ここに加古さんが。

「あら、出水くんじゃない。何か用かしら?」
「米屋を探しに来ただけっす、けど…」
「米屋くんなら、ランク戦ブースよ。何か伝えたいことでも?」
「あ…はい。あの槍バカにテスト勉強の範囲を教えようと思って。…で、なんで加古さんが?」

「…俺が呼んだ」
「三輪…?」
「ああ。早織をもっと引き出してくれると思ってな」
「…おう。って、加古さんはいいのに俺は駄目なのかよ!」
「当たり前だ。――出水は早織のことが好きなのだろう?」

気づかれた。
よりによってその彼氏に、しかも三川本人のいる前で。

「…そう、なの?」
「早織、気にするな」

どうして、こうなったんだろう。とんでもないものに巻き込まれた気がする。
俺はただ、米屋を呼びに行っただけなのに――

 


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