宝石

ダイヤモンド


友人の梓ちゃんの手に、婚約指輪が光るのを見つけた。
「梓ちゃんに婚約者かぁ……絶対いい人なんだろうなぁ。今度紹介してよ!」
「ありがと。でも安室さんなら**ちゃん知ってると思うし……」
安室さん、というのは梓ちゃんが働く喫茶店『ポアロ』の同僚だ。
梓ちゃんに紹介された日に彼に一目惚れした私は、梓ちゃんがいない日でも彼目当てに『ポアロ』に通う日々が続いていた。ただの職場結婚と言えばそうなのだろうけど、安室さんの隣でブーケを持つ梓ちゃんの姿が思い浮かぶたびにその光景を脳内から消したくなってしまう。
「あー……あの人ね、知ってる」
祝福と嫉妬でぐちゃぐちゃの感情を表に出すわけにもいかず、苦笑いで答える私。それを心配したのか梓ちゃんが問うてきた。
「ね、ねえ……**ちゃん。まだ私達って友達だよね?」
「あはは……梓ちゃんってたまにばかみたいなこと言うよね。何があっても私達
の友情は壊れないって」
壊れるのは、私の心だけで充分。

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