宝石

トルマリン


「**ちゃんはなんでアイドル続けてられるの?」
「あはは……アイドルが好きだから、かなぁ」
――それだけじゃない。あの人に、振り向いてほしいから。
彼の好きな『にゃーちゃん』と同じ場所に立てば、彼に見てもらえると思ったから。
「そっかー…」
最初はにゃーちゃんのついででよかった。あの人に名前と顔だけ覚えていってもらえればそれでよかった。けれど、違った。
段々私のことを見てほしくなった。彼の心の中のにゃーちゃんが占めている部分を全て奪いたいとすら思った。鮮やかなペンライトの海を前にする度に、私は客席の皆を見る振りをして本当は彼を探していた。
そして今日も、私は客席のあの人に会うために、ここにいる。
「それでは皆さん、こんばんはー!」
「こんばんはー!」
そんな私の想いは、執着は、私だけが知っていればいい。

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