宝石
パール
「あ、雪だ……」
ひらり、純白の雪が手の中に落ちた。
柔いそれはすぐに手袋の上で結晶から水滴になってしまうものの、その度また次の一片が落ちてくる。
それは、この間の舞台であの人が見せた優美な姿にどこか似ていた。
「せんせ……って、もう違うか」
彼――月岡紬は私の家庭教師でもあったが、卒業を機に離れ離れになってしまった。 今や彼は私の先生ではなくて、皆の舞台俳優なのだ。
『俺、また役者を目指して頑張ってみるよ。いつか舞台に立ってみせるから、その時は観に来てくれると嬉しいな』
別れた時の言葉通り彼は諦めきれなかった夢を追い、それを実際に成し遂げてここまで来ている。だというのに私は諦めきれないまま追うこともできずに踏みとどまるだけで。
そんなことを考えているうちに、少し後の舞台の当選通知のメールが届いた。
「……どんな顔して会えばいいんだろ、」
prev next
← site top