宝石
フローライト
憧れのヒーローとして、ヴィランを追い払うことが日常となりつつある僕。今日もまた、その『日常』が来る。
「あの、先程はありがとうございます……っ」
先程助けた、一回りくらい年下の女の子。
彼女の目には、きっと正義の味方として映っているんだろう。チャートで度々名前が挙がる、『ヒーロー・デク』としての僕。
「あっ……あの、どうして私を助けてくださったんですか?」
ヒーローになってから、何度か僕に投げかけられる問い。
――なぜ助けたのか?
「それが、ヒーローというものだからだよ」
安心感をもたらす存在だから、憧れのオールマイトのようになりたいから――問われるたびに、僕はそう返してきた。
けれど、今はそれだけではなかった。それは――
「あと、さっきの君が……」
――君が、泣き虫だった頃の僕に見えたから。
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