宝石
ラブラドライト
京都校の2年だという先輩はどこか掴みどころがなくて、俺を含めた1年生の名前を聞いた途端にあだ名をつけるような人だった。
「へえ、君は『いたどり』か……じゃあ『たどりん』だ!」
たどりん、なんて何かを辿るような呼び方だ。言うまでもなくそういうあだ名で呼ばれたことは一度もない。ちなみに伏黒は『ふっしー』で釘崎は『のばらん』らしい。
「んー……だめだった?」
伺うように俺の顔を覗き込む先輩。五条先生のように距離を縮めているのか、名前で呼ばないことで逆に距離を置いているのか――彼女の真意が知りたい俺は一つ問うた。
「いや、それでいいっすけど……皆あだ名呼びなんすか」
「まあね。あだ名っていうか、私だけの呼び方がいいの。そうすれば、もし私に化ける呪霊がいても区別できるでしょ?」
それは、俺を呪霊から守ってくれているということなのか――言葉に形などないけれど、それがなぜか目印のタグのように思えた。
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