宝石
アメジスト
嫌な夢を見た。時間遡行軍との戦いで、私の愛刀が折られてしまう夢を。
『なんで…………!』
私は審神者とはいえ元はただの人間で、あまり表には出せないが不安になることも当然あるわけで。先程のそれは夢でよかったけれど本当にそうなってしまったらどうしよう、そんな心のざわめきを処理しきれずにぼろぼろと泣いていたところで後ろから声がかかる。
「たーいしょ、何かあったか?」
彼こそが夢で折れた愛刀の薬研藤四郎、その付喪神だった。
戦場じゃ頼りにしてくれていいぜ、そう言ってくれた時から私は彼を頼ることに決めている。その実、冷静沈着で任務に忠実な彼は、特に私に親身になって戦ってくれるのだ。
心地よい彼の声のおかげで、いくらかは落ち着くことができた。
「君が折れちゃったら、どうしよう…って、不安になって、」
「そっか。……大丈夫、俺はそんな簡単に折れねえからさ」
その言葉で、私はまた安心を取り戻す。
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