宝石

アレキサンドライト


あの日、私はハイル達を失った。
喰種対策に追われている現状では彼らをしのぶ会など開かれるわけもなく、特に何も触れないままで時が過ぎていく。
――私以外、誰もいなくなってしまうのではないか。
違うとはわかっているけれど、それでも絶望に心が揺らぐ。
「特等?おーい、宇井特とー……」
誰かと思って振り向けば、何かと私を気にかけてくれる部下の**だった。
「こんな所にいたんですね。煙草でも吸ってたんですか?」
「いや、そうじゃない。ただ……」
今更隠すことでもあるまいと、先程の揺らぎを吐露する。彼女もそれはどこかで感じていたようで、まっすぐ私の方を見ながらこう返してくれた。
「寂しいですよね、もう二度と戻ってこないんですから。それでも……いえ、だからこそ私たちは喰種を狩らなくちゃ。ですよね、」
どうやら彼女は、ある意味で私よりも強かったようだ。
「ああ、そうだな。……さて、次の捜査に行こうか」

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