宝石

サンストーン


明日は弟のゆうたくんと、その彼女である**ちゃんのお出掛けの日――だったのだが、弟は緊張からか熱を出してしまった。幸い微熱で済みはしたけれど、大事をとって彼はお休みということになった。
代わりに彼女のところに行ってほしい、弟はそう頼んできた。
「俺、休んでるからさ。…上手くやってくれよ?」
そして迎えた当日、弟のふりをして向かう待ち合わせ先。辛いものを食べることになったりもしたが、なんとか順調に進んでいる。このまま上手くいけば***ちゃんとゆうたくんは付き合えるかもしれない。
その一方で、どこか**ちゃんに惹かれている自分もいた。その想いは弟の望みと天秤にかける程尊いものでもないことも、心の中ではちゃんとわかっていた。
本当は、弟のキューピッドになってあげたかった。
けれど、今の俺はそうはなれない。
「(ゆうたくん、ごめんね…上手くなんてやれないや)」
仕方ないじゃないか。
俺だって、**ちゃんのことが好きになってしまったんだから。

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