野薔薇の檻

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俺の姉は、変な姉ちゃんだと思う。
毎年サンタさんになりたいからと俺にサンタのコスプレでプレゼントをくれていたし、入院中の俺に暇だろうからと自分がハマっている漫画――それも俺が好きな『進撃の巨人』とは全くかけ離れたもの――を貸すし。そして俺の彼女――姉にとっては将来の義妹にあたる――の**とかなり仲がいいらしく、お揃いのロリータファッションというやつで原宿に出かけようとしたし、その自分が着る方の服が大きいサイズしかなく着られないと知るや代わりに俺にその服を着せ、その格好で俺と彼女が食べ歩きした写真を送らせる始末だ。
お嬢などと呼ばれるのがあまり好きではない俺は最初は女装自体あまり乗り気ではなかったのだが、そのデートの夜にこの服を着たまま**と絡むといつも以上に滾ってしまって。それ以来すっかり女装した状態での彼女との行為が癖になってしまい、2人で服を着たまま意識を手放すことも多くなった。
誤解しないように言っておくとあくまでもこの状態で**と絡むことに意味があるのであって、ロリータファッションそのもの――ひいては女装そのものへの拘りは俺にはない、はずだ。もし本当にそういった癖がついてしまっているのだとしたら、それは100%姉ちゃんが悪いと思う。

***

ベッドの上、色違いのロリータ服で、向かい合わせに座った体勢で。
姉は**にはあの服のデザインを気に入ったと説明しているらしく、俺もあまり意識させないようにあえて黙っていた。けれど、本当はこの服もキャノティエも、姉がハマっている漫画とのコラボアイテムだったりする。
あまり原作を知らない彼女は、女の格好をした俺に犯されているくらいにしか思っていないのだろう。けれど、俺としては別にそれでも構わない。これはあくまでも戯れなのだし、互いが滾りさえすればそれで構わないのだから。

「俺の可愛い白薔薇――なんて、玲王とかなら照れずに言えるんだろうな」
「もう、豹馬くんってば……っ、」
「ほら……早く逃げねーと、捕らわれちまうぞー……?」

忠告するような言い方こそすれ、元々こちらには捕らえてやる気しかない。もし**が逃げるというのならば、この動きづらいジャンパースカートのままであろうと試合中さながらに走って追いかけることも辞さないつもりだ。そして彼女もそれをわかった上で、この戯れに興じているのだろう。
茨を伸ばすように、**の腰に手を回す。ぐ、と抱き寄せて密着し、そのままかぷりと耳を食んでやると、びくりと身体を震わせながら身を捩る様が可愛らしくて堪らない。

「……ぁ、豹馬く、」
「はは、捕まえた」
「ひ……っぁ、」

しゅるりとリボンを解いて、ボタンを外して、ブラウスをはだけさせて。そのまま露わになった鎖骨に舌を這わせて、ゆっくりと上へなぞるように舐め上げて、時折強く吸い上げて痕を残して――まるで花弁を散らすように、いくつも、いくつも。
姉ともこうして絡んでいるのかと不安になって訊いてみたこともあるけれど、どうやらまだそこまでには至っていないらしい。それを聞いたときの俺がどれだけ安心したことか、彼女は何も知らないのだろう。
――ああ、可愛い。
もっと、もっと乱したい。
捕らえて、絡め取って、めちゃくちゃにしてやりたい。

「ん……っ、ゃあ……♡」

ジャンパースカートの下に手を入れて、パニエもドロワーズも脱がせて、爆弾も何もないすらりとした右脚を撫でて。そっと脚を開くよう誘導すると、恥ずかしそうにしながらも素直に従ってくれるのが愛おしくて仕方がない。
内腿にも唇を落としてぢゅ、ときつく吸ってやれば、ぴくんと反応する身体。何度も繰り返すその度に少しずつ乱れていく**の姿は、白薔薇の蕾が綻ぶ様そのもので。

「ここも、開いてやるからな……」

開花寸前まで膨らんでいるその蕾は、あと少し愛でてあげれば簡単に開くことだろう。
現に下着越しに指先で軽く触れたそこは、既にしっとりと濡れていた。この服を着て絡み合うときは服が完全に脱げてしまわないよう胸元を露出させることはなく、必然的に弄ることもしていないというのに。キスとシチュエーションだけでここまで潤ませてしまっている彼女を見て、思わず口角が上がる。

「あっ、ぁ、豹馬、くん……っ♡」

ショーツを脱がし、直接花芽を押し潰し、蜜が溢れる割れ目をなぞって。その度に上がる甘い声と、びくびくと震える肢体。
――ああ、やっぱり可愛い。
**は本当に、どこもかしこも綺麗だ。彼女はこの服を着ている俺を見るたびに俺の方が似合うと言ってくるが、指だって彼女の方が細くて華奢だし、足だって俺のように壊れてはいない。
姉にはあのデートの際、俺とのツーショットとはいえこの服を着た**の写真を送らされた――というか本来そのために俺の分の服を譲られたようなものなのだから仕方ない――けれど、他の奴にはこの姿の彼女を誰にも見せたくないというのが正直なところだ。事実、あのデートでタピオカドリンクを頼んだ際、男の集団が**に声をかけていたところを2人分のタピオカドリンクを手に慌てて駆け寄った記憶がある。俺まで女に見えていたのか俺に声をかけてきた奴もいたけれど、大概の奴は足元を見て俺を男と見抜いたらしくその後も**だけを狙っていた。結局女だったら誰でもいいのだろう、そんな奴らに彼女が穢されて堪るものか。
この快楽は、そんな奴らには味わえない――誰かをぶち抜くときと同じくらい、それ以上に俺にしか味わえないものであってほしい。
俺と**だけの秘め事。

「やっぱり、**の方がよく似合ってるよ」
「や、ぁ、豹馬く、……っ♡」
「ほら、もうこんなに蕩けて……」

つぷり、と音を立てながら、指を中へと沈めていく。
指を増やす度すぐに飲み込んでくれるそこは熱くうねっていて、もっともっとと奥へ誘うように締め付けてくる。この服を着るときはいつも今のような向かい合った体勢でしているのだが、弱々しく俺の袖口にしがみついてくる**を見ると、この体勢でしていてよかったと心から思えた。ぐい、と抱き寄せて密着すれば、先程にも増して彼女が俺の身体に倒れ込むような形になる。俺の首筋に顔を埋めて必死に快楽に耐えようとしているその姿は本当に可愛らしくて、同時に酷く妖艶で。
純粋で無垢な白薔薇は、しかし快楽を知り、潤み――やがて、ぐしゃりと蕩け落ちる。俺を惹きつけて離さない、毒を孕んだ蜜を溢して。

「……**、」
「ひ……っ、ゃ、あ……っ♡」
「俺しか見てないんだから、もっと……もっと乱れて、」

びくびくと小刻みに震える**の耳元で囁きながら、指の動きを早める。ぐり、と一点を強く押した瞬間、彼女は俺の腕の中で果ててしまった。どろりと溢れ出た蜜が太腿を伝う感覚にさえ感じてしまうのか、小さく喘ぎ声を上げながら身を捩らせる姿はあまりに扇情的で。
ゆっくりと指を引き抜いて、そのまま**の腰を抱き寄せ、膝を立たせて俺の脚を挟むような体勢をとらせる。それから彼女に見えないアングルで俺のジャンパースカートを捲って、パニエとドロワーズと下着を下ろして、熱を持った中心にゴムを纏わせて――あとは、彼女が自分で腰を沈めていくだけ。

「あっ、ぁ……♡入って、くる……っ♡」
「んー……よしよし、ゆっくりでいいからな……」
「ぁ……っん、豹馬く、豹馬くん……っ!♡」

熱を持った楔を、少しずつ**のナカに埋め込んで。押し広げられたそこに全て呑み込まれたところで、一度動きを止めてやる。
女物の服を纏っていながら、服の下ではこれ以上ないほどに自分の男性性を主張している――この行為がどうにもやめられないのは、アンバランスなこの光景にどうしようもなく滾ってしまう自分を知ったからだろう。

「ん……もうよさそうだな、」
「あっ、ぁ……♡豹馬くん、豹馬くん……っ♡」
「**、可愛い……」

やがて顔を俺の服に埋めた**がブラウスのリボンの端を咥え、下の方向にしゅるりと引いて。元々そこまできつく結んでいなかったこともありすぐにはらりと解けたそれを合図に、ゆるゆると律動を開始した。
互いにロリータ服を着たまま絡み合っているせいかずっと身体中に熱が籠っていて、エアコンをつけていなければ今すぐにでものぼせてしまいそうな暑さのあまり頭がくらくらとしてくる。けれど俺も彼女もすでに頭が麻痺しているのだろう、お互い着ている服を脱ごうともせずただひたすらに絡み合っていた。

「豹馬くん、こうして見るとやっぱり女の子みた、い……んん、ぅ……っ♡」
「はは……何言ってんだよ、この期に及んで……っ!」

女同士じゃ、貫いてやることはできないだろ――そう咎めるように**の唇を塞ぎ、舌をぬるりと滑り込ませ絡め合わせて。右手で彼女の後頭部を押さえて逃げ場を封じ、呼吸すら奪うほど深く貪るように口づけながら、何度も、何度も最奥を抉ってやる。
フリルと、レースと、リボンの花園。例え彼女が義姉さんと慕う俺の姉だろうと、立ち入ることは許されない――俺と**、2人だけの世界。

「ぁ……豹馬く、もうだめ……またイっちゃ……ぁ……っ♡」
「いいよ、ほら……ッ、」
「やっ、ぁ、あぁ……っ!♡」

俺の背中にしがみつきながら達する**を抱き締め、少し遅れてその胎内へと熱を放つ。ゴム越しとはいえど熱い飛沫を感じ取ったのだろうか、びくびくと身体を震わせながら俺の肩に顔を埋めてくる彼女は本当に艶かしくて堪らなくて。
もう一度顔を上げさせて、噛みつくようにキスをした。

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