アイノカタチ

※「鈴蘭の箱庭」の逆ver
※チカさんの独占欲強め(当社比)です

***

母親も、父親も、親友も。
俺を置き去りにして、向こう側へと行ってしまった。

けれど、彼女は違った。
彼女――**は、今も俺の側にいてくれる。
俺を求めて、離さないまま――

「ちかぁ…っ、」

今日だって、そうだ。
向き合っている体勢の彼女が、シャツの裾を引き強請ってくる。

「どうした、」
「…熱いよ…っ、お水…ほしい…」

長いこと求め合っているからか、彼女の身体は熱くなっていた。
取ってきた清涼飲料水を、口移しで飲ませていく。桃の味のする水が、端から少し溢れて彼女の顔を伝った。

「…っん、ん…!」
「**…大丈夫か、」

力の抜けた彼女を、そっと左腕で支える。
この状態で何口か水を飲ませて、ふわりと布団に降ろした。

小さくて、華奢で、抱き心地の良い**の身体。
細い手足も白い肌も、ずっと独り占めしていたい。

「うん、大丈夫…もっと、ぐちゃぐちゃに溶かして…?」
「…まだ、満たされたいのか」

**は、満たされることを心から望んでいた。
満たされないままの彼女と、失ってばかりの俺はどこか似ている。

「口移しだけじゃ、足りないの…どうなってもいい、から…!」
「ああ、そこまで言うなら」

ゆっくりと覆い被さり、唇を奪う。**まで向こう側に行ってしまわないように、手を後ろに回してその存在を捉えた。
そのまま、逃がすまいと後頭部を撫でる。

「んぅ…ぁ、ちかっ…」
「…っは、」
「ん、ん…っ、」

舌を絡め合ったり、**の舌を吸ったり。先ほど冷ましたばかりの身体は、それだけで容易く熱を帯びていく。
それをしばらく続けるうちに苦しそうにするので、そっと口を離した。
蕩けた顔をした彼女の顎を掬い、目を合わせる。

「**、次はこっち。…俺のものって印、つけなきゃな?」
「いっぱい頂戴…お願い…」

リボンを外し、ボタンも外し。
そうして露わになった首元に、幾つもの痕をつけていく。
こんな痕など3日もすれば消えてしまうというのに、それで彼女を繋ぎ止めようとしている俺は愚かなのだろう。

「ずっと、一緒にいて…私の、私だけの――」
「ああ、ずっと一緒だな、」

――俺の、俺だけの**。

囁いて、そのまま耳に口付ければ、彼女の身体がぴくりと跳ねる。
もう少し服をはだけさせ、胸元にも痕をつける。

「ん…っ、ふぁ…!」
「…よし、ついた」
「ね、もっと頂戴…足りないの、」
「わかったから…ほら、」

なおも求め続ける**の右手を握り、布団に押し付けてまた痕をつける。
握り返してくるその手は、俺の義手にはとても温かい。

やはり、俺と**は似ている。
永遠に共にいることを望んで、それぞれに互いを独占して。執着。独占欲。所有欲。それらを、一身に注ぎ込んで。
満たされないのも、同じだ。

「んっ…ちかぁ、」
「…**?」
「ちか、すき…だいすきっ…」

そう言って微笑む彼女の頭を、右手でゆっくり撫でる。
目を細める彼女に、返事代わりに微笑み返した。

きっと、俺と彼女の形は変わらない。変われないのだろう。
例えそれが、歪なものであろうとも。