縛るのなら優しいリボンで、

青いベッドの上。
同棲中の彼女――**が、こう切り出してきた。

「てーんやくん、」
「ん?……どうした、**?」
「あのね、洗脳プレイっていうの……されてみたいなぁって、」

曰く、世間ではそういう趣向のプレイが流行っているらしい。一方が目隠しをされ、場合によっては酔わせた上でもう一方の声に操られるように事を進めていくのだとか。
とはいえ、僕の個性では洗脳などできるわけがなく。彼女のために心操くんを呼ぼうかと問うたものの、その案は「てんやくんがいい」という言葉と共に取り下げられる。

「あはは……だめ、かな。さすがに……」
「……いや、構わない」
「え、いいの……?」

どうしても、悲しむ**の顔を見たくなくて。
二つ返事で承諾し、取り出した制服のネクタイで**の目元を覆い隠した。

「君が望むなら、何だって応えよう」

***

とはいえ僕と**は元同級生として、それ以前に恋人として対等な関係にあると思っている。
彼女を一方的に従わせているようにも思えるこの行為に対して、罪悪感がないわけではなかった。

「……その、**」
「なぁに……?」
「口……開いてくれるか、」

僕の言葉を受け取ったのかすぐ開かれた口に舌をねじ込み、すっぽりと両手で両耳を塞ぐ。こうしていればしばらくは何も**に言わなくて済むからと、せめてもの時間稼ぎのつもりだった。
じゅ、と舌を吸ったのち口を離すと彼女は苦しそうな、けれどどことなく満たされたような表情を浮かべる。

「は…………ぁ、てんやく……っ、」
「呼吸が相当荒いが……つらくなかったか、」
「んん、だいじょーぶ……つらくないの、きもちいいの……っ、」

そうとまで言われてしまえば、先程まで感じていた罪悪感はもうあってないようなもので。
先程まで耳元に添えていた手で彼女の両手を掬い、びくびくと震える身体をシーツに縫いつけるように体重をかける。そのまま、もう何も言わせないと告げる代わりにもう一度唇を塞いだ。
彼女の全てを掌握しているかのような感覚に、罪悪感の奥底にはこのような欲望を秘めていたのだと嫌でも自覚させられる。

「っ、んん……!」
「……暴れないでくれるか、」

そうして完全に箍が外れてしまえば、あとはこのまま堕ちていく以外の選択肢などなかった。