夢の絶え間が三日月を模す
ベッドの上、布団の中。
血の鱗が剥がれ落ちる張り裂けるような痛みを薬で宥めるたびに、割れたガラスを飲み込んだように内側から熱で満たされる。温かい飲み物を一気に飲んだときのものとは違う恒久的な温もりが身体の中心から全身へと広がっていくけれど、それは同時に鉛のようにのし掛かってきて。
その重さと共に眠りに落ちようとしていた瞬間、コンコンと扉が叩かれる。
「……**、」
「んん……あ、てんやくん……?」
私の部屋を伺ってきたのは、他でもない同棲中の彼だった。
この時間はプロヒーローとしての任務中だったはずなのだが、彼は私を心配してか任務を早めに切り上げ帰ってきてくれたらしい。そういえばと通知を切っていたスマートフォンを見れば、何通かメッセージが入っていた。
「**、まだ苦しいか?」
「ん……苦しいし、眠い……」
「薬は飲んだのか?」
「さっきね、」
彼の手を借りて少しだけ身を起こし、枕元に置いたペットボトルの蓋を開ける。そうして開け口にそっと舌を添えて、ひとしずくぶんの透明な水を舌の上に流し込んだ。ひとりでもどうにかできるはずだと思っていたけれど、どうやらそうではなかったらしい。
だからか、次の彼の言葉がどうしても想像できなかった。
「力になれるような個性じゃなくて、すまない」
「でも、さっき駆けつけてくれたでしょ?」
だって、私にはそれだけで充分だから。