不浄なるものの末路はひとつ

**のことが好きで、汚いものは嫌い。
互いの言う『綺麗』だとか『汚い』だとかの意味するところは少し違っているけれど、それでも**に手を出す男は誰であろうとも全員汚い。
それが、俺とあいつ――馬狼の共通認識だ。

「しかし、あの野郎もきったねぇ男だったなあ〜……」
「その通りだ。**をオシャと認めるその審美眼だけは褒めてやるが、あの男如きが**と恋人になろうなどと考えるだけでも烏滸がましい」
「蟻生のクセに、わかってんじゃねえか。ま、あそこでてめえが羽交い締めにしてなくても、俺がそうしてたけどな」

既に冷え切った身体を土足で踏みながら、馬狼は触るのも嫌だとばかりにゴム手袋を器用に口で外す。足元に転がっている男は確か1時間くらい前、道端で出会った**を一目で気に入り、お茶とか言って誘っていたのだったか。彼女は俺が認めるくらいにはオシャだから他の男共が群がっても俺が崇拝されるのと同じくらい当たり前だろうけれど、それは俺とあいつがいる限りは決して許されないことで。
逆に口元が汚れるのではないかと思うくらいにべったりと血塗れのそれは、侮蔑一色の声音で吐き捨てられた言葉と共にぼとりと男の身体の上に落ちた。どうせこの場を掃除するときにまた汚れるというのに、難儀な奴だ。

「おい、とっとと掃除すっぞ。あの野郎の死体が転がってるなんて、汚えにも程があっからよ」
「ああ。証拠が残って捕まるのは困るからな、綺麗さっぱり消し去らなければ」
「たりめーだろ。てめえ、俺を誰だと思ってる」

俺はあくまでも馬狼がやりすぎないように見張るため掃除の人手も兼ねてついていった形ではあるが、オシャな**がオシャじゃない男に穢されるのはノットオシャだ。だから俺は結局あいつを止めるどころか、アシストする形になっている。
おそらく、ウマというものが合っているのだと思う。
オシャな俺と独善的で傲慢不遜なあいつのウマが合っているだなんて決して認めたくはないけれど、嫌いな食べ物こそ違うもののそれを嫌う理由は汚いからだし、短所を聞かれればその質問自体を認めない。馬狼は正統かつ圧倒的な敬意を示されることを求めるが、それは俺の求める崇拝と言い換えることができるだろう。
そんな俺とあいつだから一応彼女に関しては協力関係ではあれど、互いに仲間意識があるかといえばそうではない。

「大体よお、キングである俺以外の奴に**が奪われるとかありえねえんだよ。なあ?」
「何を言っているんだ。**の側にいるべきは、No.1オシャな俺だろう」
「……あ?てめえも用済みになったら始末すっからな?」

**に手を出す男は――自分以外は、誰であろうとも全員汚い。だから彼女に群がる男共を始末したとして最終的に俺を選んでもらえるとは限らないけれど、もし俺以外の男が選ばれようものならそいつも始末するだけだ。
その相手が、今は共犯者と呼べる馬狼だったとしても。