泡に肉、潮は桃色

事故で両親を失い貧しい生活を送っていた俺は、家族を養うために高校を卒業してすぐこの店で働き始めた。客のエゴのままに――そんなキャッチフレーズで人気を博すここはいわゆる出張型の女性向け風俗だ。
同僚の凪達のように飛び抜けて人気があるというわけではないが、それでもそこそこ家族の分は稼ぐことができているので今のところ不満はなかった。

「……2人で?俺と潔がダブルで施術するのか?」
「ん。俺の客だからって、遠慮しなくていいからな」

そんなある日。俺は同じ寮にいるひとつ年上のセラピスト・潔と組んで施術をすることになった。
いつもは潔1人を指名している彼女は『弟みたいな扱いをしていた彼に攻められる』シチュエーションが好きで潔ともいつもそういうプレイをしていたらしいが、今日は彼女が3Pをしてみたいとのことで俺が指名されたというわけだ。蜂楽や千切ではないのかとも思ったけれど、おそらく俺の家庭事情やフェチを汲んだ上で俺を彼女に勧めてくれたのだろう。ありがたい話である。

「サンキュ。さすが、適応能力の天才だなっ」

***

写真で見た彼女は俺の姉とは違うタイプで、どちらかといえばおとなしそうで包容力に溢れる見た目をしている。そしてその包容力は、実際に会った今ではより強く感じられた。
まずは椅子に座ってもらい、軽く自己紹介を兼ねたカウンセリングをする。

「よいちゃんと……あさちゃんだね。よろしくね」
「こちらこそ。その……」
「『お姉ちゃん』って呼んでもいいんだよ?」
「わかった。じゃあ今日はよろしく、姉ちゃん」

弟達のように俺のことをアサ兄と呼びたがる子もいるけれど、年齢よりも幼く見えるからかこちらが弟として可愛がられることもある。実の姉ではない女性を姉ちゃんと呼ぶのは何度目になるだろうか――仕事を重ねていく中でもう数えきれなくなったけれど、今この瞬間は彼女がもうひとりの姉ちゃんというわけだ。
なんだか彼女の方がセラピストのような雰囲気が強く、俺が接客する側だということを忘れそうになってしまう。

「さて、姉さん。今日はどんなふうにしてほしい?」
「えっと……いつも通り、いっぱい気持ちよくしてくれる、かな……?」
「ん、いいよ。それじゃ、ボディーマッサージからしようか」

シャワーを浴びてきたのち。タオルを巻きベッドの上に寝そべる彼女に潔が尋ねると、彼女は頬を赤らめながらも期待に満ちた目で答える。彼女と潔にとってはいつもの光景なのだろうけど、俺からしてみれば彼らの絡みを見せつけられているようでいけないものを見ているような気分にさえなった。

「まずは足の裏から揉みほぐしていくね」
「うん……っ、♡」

潔の手が彼女の足をなぞると、それだけで彼女は小さく声を上げる。どうやら敏感体質らしく、潔が少し触れただけで早くも身体を震わせていた。
潔もそれをわかっているのかわざと焦らすように足の指の付け根や土踏まずを中心に刺激しているようだ。潔が意地悪なことをするたびに、彼女はぴくんと反応していた。そのまま足首の方まで手を移動させたかと思うと、今度はふくらはぎへと進んでいく。膝裏を通って太腿の内側へ――際どいところに触れるたび、彼女は艶っぽい吐息を漏らした。

「ふぅ……ッ♡あっ……そこ、きもちいの……っ♡」

まだ性感マッサージには至っていないのに、すでに彼女は熱に浮かされた表情を浮かべている。潔の愛撫によってすっかり発情してしまったのか、呼吸は荒くなっていた。
そんな彼女を冷静に見下ろしながら淡々と施術を進めていく潔に倣って、俺も彼女の全身を丁寧に揉みほぐしていった。

「あさちゃんも凄いね……?私とはまだ初対面なのに……♡」
「ま、俺結構初対面でも仲良くなりやすいしさ」

潔と違って俺は彼女と付き合いは長くないけれど、俺だってそこそこ経験を積んでいる方なのでこれくらいのことは慣れっこだった。それ以前に、身も蓋もない言い方をすればこちらは仕事だ。
何より、彼女が俺を選んでくれたのなら、できる限り応えたかった。

「ふふ、2人とも上手だね……?♡」
「ありがとう。じゃあ、タオル取るよ」

20分ほどして、潔がうつ伏せのままの彼女から上半身のタオルを剥ぎ取る。そういえば、そろそろパウダー性感マッサージに移る頃合いだ。
剥き出しの背中にパウダーをかけ、首筋から肩甲骨にかけてを2人がかりで優しく擦っていく。潔は背骨に沿ってゆっくりと、俺は首のあたりを重点的に。潔の施術と俺の施術を同時に受けることで、彼女はより一層リラックスできたようだった。

「次は仰向けになってくれる?」
「ん……っ♡」

潔の言葉に素直に従い、彼女はごろりと体勢を変える。そしてそのまま剥き出しの胸元を隠すこともせず、無防備な姿を晒していた。
俺と潔は顔を見合わせると、互いの意思を確認してから左右に分かれて彼女の胸元に口を寄せる。

「……ひゃ、あ、2人とも……っ♡赤ちゃんみたい……っ♡」
「姉さんってば、いつもこうしてるだろ?『弟』に攻められるの、好きだもんな?」
「う、うん……っ、すきよ……♡だからね、2人とももっと吸って……っ?♡」

まるで赤ん坊のように夢中で胸に吸い付いていた俺は、その言葉を受けて口の動きを激しくさせる。舌先で乳首を転がしたり、甘噛みをしたり――そうやって刺激を与えるたびに彼女は甘い声で鳴いた。潔も俺と同じようにもう片方の乳房を口に含んで、時折軽く歯を立てたりしながら刺激を与えている。
両方の突起を同時に攻め立てられ、彼女は快楽に悶えることしかできない。

「ぁ、それ、すき……っ、イっちゃいそ……っ♡」
「いいよ。ずーっと期待してたんだろ?」

潔は彼女の耳元で囁くと、そのまま彼女の耳に舌を差し入れた。同時に、先ほどまで口に含んでいた方の胸の先端を摘む。
俺も合わせるように胸元から口を離し、目についた太ももの方へと口を寄せた。そのままナカに指を沈めながら、内腿へといくつもキスを落としていく。

「ぁ……っ、そこ、ちゅってされると、ぁぅ……っ♡」
「そこ……?……ああ、成早も太もも好きだもんな」
「そうだけど、姉ちゃんここ弱いの?」
「ああ。姉さんったら、太もも攻められるとすぐ感じるんだよな」

ちらり、と潔がこちらを伺う。
ずっと彼女と接していて、しかも覚えがよくて攻め方も熟知している――そんな潔にマウントを取られているような気がして。ちりちりと燃えつつある感情に比例するように、1つずつのキスの間隔は縮まっていく。そうしてぐちゃぐちゃといくつもの水音が響く中、彼女は大きく身体を跳ねさせて絶頂を迎えた。
けれど、まだサービスの時間は終わっていない。俺も潔も彼女を気持ちよくさせるためにこうして触れているのだし、何しろ120分コースで予約してくれているのだから時間ギリギリまで彼女を満たしてあげるつもりだ。
別に自分も気持ちよくなろうとか、本番しようとか、そんな贅沢なことは言わねえからさ。

「姉さん、」
「姉ちゃんっ」

もっともっと、気持ち良くなってね。