箱庭メリィ
あのノエル・ノアに隠し子がいたらしい――そう俺が知ったのは、本人にその隠し子のことを伝えられてからだった。最高のストライカーと言われながら俺を始めとした大多数の人間にその存在を気づかれていないのは、ノア本人が選手としての生活を優先するため彼女――**をずっとシッターに預けていたからなのだろう。
触れ合う機会がなかったせいか彼女側にノアが父親という認識はあまりなく、合理的を是とするノア本人にとっても幼児の心理は理解し難いものだったのだろう、必要最低限の食事や衛生管理こそすれど触れ合いなどのいわゆる情緒面では彼女を満たしてあげることができないとずっと悩んでいたらしい。そこで彼女の世話役――いわゆる遊び相手として、俺を呼ぶことにしたのだとか。
「ノエルお兄ちゃん、この人は……」
「俺が指導している選手で、潔世一だ。――世一、この子が**だ」
「は……はじめまして、」
十何年か前に日本人女性に迫られてできてしまった子供だという彼女はフランスと日本とのミックスで、ノアより一回り離れていて俺より5歳ほど下だろうか――なのだろうけれど、それにしてはやたら幼いような気がした。
銀色の髪に白い肌、どこか不安げな目つき、白を基調としたワンピース、棒のように細くて頼りない四肢。あまりにも生々しくて目を背けたくなってしまうのに、目を離せないような――羽化したてのカイコガを思わせる、儚さと危うさ。前にこの話をされたときにノアがカイザーには任せられないと言っていた理由が、改めてわかった気がした。
「ふふ、よいちゃんかー……」
「世一、な。よいちゃんでもいいけどさ、」
トトロを見るたびに姉が妹がほしくなる俺だから、**はやっとできた妹のような存在のように思えて。しゃがみこんで視線を合わせ頭を撫でると、彼女は嬉しそうに微笑んで――まるで本物の兄妹になったみたいに、ぎゅっとしがみついてきた。
脆く儚げな彼女を、俺なんかの手で壊してしまわないように。慎重にそっと抱きしめ返すと、華奢な身体からは想像できないほど温かくて柔らかくていい匂いがした。
「えへへ、よいちゃんは……ボール、蹴らないの?」
「ああ、**は俺や世一が試合をしているところをテレビで見てきているからな。だが、今はだめだ」
「そうそ。今扱ったら、**に当たるかもしれないだろ?」
「あはは……そっか、」
ノアの言葉を引き継ぐように言うと**は納得したようで、こくんと小さく首を縦に振った。俺の腕の中で安心しきって体重を預けてくる姿はとても愛らしくて、庇護欲を掻き立てられる。
栄養管理をしっかりしているからかひとりで歩くことはなんとかできるものの走ることも跳ぶこともうまくできないうえに、集団生活を経験していないからか精神面も年齢不相応に幼いままで。誰かに依存しなければ生きられない身体なのに、依存するべき親との触れ合いが取れていなかったなんてあまりに残酷すぎる。
「じゃあ、よいちゃんと遊ぼうか。ノアも一緒でいいですか?」
「当たり前だろう。いきなり世一に任せておけるほど俺は無責任じゃないぞ」
「はは……そう、ですよねー……」
クッションが敷き詰められた床の上、**は俺の膝の上にちょこんと座る。するとノアは少し拗ねた様子で俺と彼女の前に座り込み、彼女の体を回転させてノアの方を向くように仕向けた。
正直あのノエル・ノアともあろう者が小さな女の子と戯れる場面は想像もつかなかったけれど、どうやら意外にも仲良くできているようだ。
「えへへー……ノエルお兄ちゃー……」
**は無邪気に笑いながらノアに抱きついていて、ノアの方はというと――今まで見たことがないくらい優しい表情で、彼女の髪をゆっくりと撫でている。
普段のノアは冷静沈着で合理的、冷たく鋭いイメージがあるけれど、彼女の前では曲がりなりにも親だったというわけだ。
そんな二人を見ていると、本当に家族なのだと思ってしまう。
「すまない、電話だ。……今から練習再開する?ああ、そんな時間だったな……**、世一とお留守番できるか?」
「うんっ!」
「よし、いい子だ。すぐに戻ってくる」
ノアは**の額にキスをして、それから俺に向かって意味ありげに目配せをしてきた。結局、俺1人で彼女の面倒を見ることになったらしい。とはいえ彼女は大人しく俺の上に座っているだけで特に何かをするわけでもなく、退屈なのか足をぶらつかせながらゆらゆらと揺れ始めた。
石鹸のようなシャンプーのような、甘い匂い。俺の胸元に後頭部を押し付けて甘えるような仕草を見せる彼女を見て、ふいに悪戯心が芽生えてしまった。
自分の憧れの人であるノアに託された彼女だから、絶対に傷つけてはいけないのに。
「**、」
「よい、ちゃ……?」
名前を呼んで頬に触れると、**は不思議そうな顔でこちらを再び振り向く形になり――そのまま、気づいたら唇を重ねていた。
柔らかい感触と温もり。初めて触れ合うそれは想像していたよりもずっと心地よくて、もっと味わいたいと思うほど魅力的で。啄むような口づけを、何度も角度を変えて繰り返していくうちに彼女の身体からは力が抜けていった。
「ぁ、あ……♡よいちゃ、よいちゃぁ……♡」
とろんとした目つきでうわ言のように呟きながら俺の首筋に腕を回して、自ら舌を差し出してくる。その舌先を軽く吸ってやると、彼女は気持ちよさそうに目を細めた。彼女の身体は柔らかくて、熱くて、甘くて――まるで麻薬みたいに俺の心と身体を満たして、溺れさせてくる。
こんなこと、してはいけないのに。
憧れのノアに失望されたら、彼女の側からも外されてしまうかもしれないのに。
「**、」
「よいちゃ……?♡」
「今からすることは、ノエルお兄ちゃんにはぜーんぶ秘密だぞ?」
俺はノアに見捨てられることと、彼女に会えなくなることと――どちらを強く恐れているのだろうか。
***
まだ成熟していない未発達な身体は、どこに触れても柔らかくて。首筋から鎖骨にかけてゆっくり指先でなぞっていくと、**はそれだけでびくびくと身体を震わせた。
その身体を満たしている感覚が何なのかまだわからないでいるのだろう、彼女は不思議そうに首を傾げていて――その姿はあまりにも無垢で愛らしくて、思わず喉を鳴らしてしまう。
「**、可愛い……」
「あ、ぅ……♡」
耳元で囁いてやればそれすらも感じてしまう材料になるのだろう、**は顔を真っ赤にして身を捩らせた。
このまま快楽だけを教え込んでしまえば、彼女はどこまで堕ちてくれるのだろうか――そんな邪なことを考えながら、するすると服を脱がせていく。下着姿になった彼女の肌は透けるように白く、その中でほんのりと赤く色づいた先端が可愛らしい。
こんな年端のいかない少女を――しかも憧れの選手の娘さんを穢れた目で見ているという事実に吐き気すら覚えてしまうけれど、それでも彼女を可愛がろうとする手を止められない。
「よい、ちゃ……?」
「大丈夫だよ。痛かったり怖くなったりしたら、すぐ言って」
「ん……♡」
**がこくんと小さく首を縦に振ったのを確認してから、身体をするすると撫でていく。背中から腰へ、そしてさらに下へと手を滑らせていけば、元々敏感だったのだろう彼女のそこはもうすっかり湿っていて。
割れ目にそっと触れると、**は縋るようにぎゅっと俺にしがみついてきた。
「ここ、気持ちいいんだ?」
「ぅー……よく、わかんない……♡」
「まあ……わかんないよな。でも大丈夫だよ、身を委ねてればいいんだ」
くりくりと突起を擦ってやると、**は初めて味わうであろう快感に身を悶えさせた。どうやらそこが弱いようで、軽く爪を立ててやると彼女は大袈裟なくらい大きく身体を跳ねさせる。
何も知らないまっさらな子供だったはずの彼女が、俺の手でどんどん淫らになっていく。それがたまらなく嬉しくて、同時にひどく興奮した。
「ふぁっ……♡ゃ、よいちゃっ……なんか、ふわふわーってするのー……♡」
「ん……気持ちいいみたいだな。ほら、もう一回ふわふわしよーな?」
「よいちゃ、よいちゃ……♡もっと、もっろほしいな……♡」
中指を沈めれば、きゅうっと締め付けてくる内壁。指を増やしてバラバラに動かしたり、奥をトントンとノックするように突いたりしているうちに、**の表情は次第に蕩けたものに変わっていった。
あやすように頭を優しく撫でてやりながら、もう片方の手で再び秘部に触れていく。達したばかりのそこは熱くて柔らかくて、できるならば今すぐにでも蕩けきったそこを熱で満たしてやりたいのだけれど、この年齢と育った環境からするに破瓜だっておそらく迎えていないだろうし、ゆっくりと時間をかけて慣らさなければ一生残る傷になってしまうだろう。
だから、今はまだ指だけで我慢だ。
「うんうん、**は本当に可愛いな」
「ひゃ、あうう……♡よいちゃぁ……♡」
指を動かすたびに、気持ちよさそうに声を漏らしながら俺にしがみつく力を強めてくる**。少しでも多く快楽を得ようと無意識のうちに動いている彼女に応えるようにぐちゅぐちゅと音を立てながら抜き差しを繰り返し、時折中で曲げたり引っ掻くような動きを加えてやれば、彼女はより一層甘い声で鳴いた。
この調子で愛でてあげれば、そろそろ絶頂を迎えさせてあげられそうだ。
「**、苦しい?楽になりたい?」
「らくに……?らくに、なれるの……?♡」
「ああ。よいちゃんが楽にしてやるから、安心して身を任せてごらん?」
こくりと小さく首を縦に振る**の姿を見届けてから、彼女の中に沈めていた指の動きを早めていく。
ざらついた箇所を執拗に攻め立て、同時に親指で突起をぐりっと押し潰して。元々感じやすい体質なのだろう、**は甲高い悲鳴を上げながら呆気なく絶頂を迎えた。
「ひ、あ……!?♡あぁ、ああああぁぁ〜〜……♡」
「んー……よしよし、上手にイケたな」
「は……♡はぁ……♡」
初めて迎えた絶頂の余韻に浸る**の髪をそっと撫でてやれば、猫のように目を細めてすり寄ってきた。その仕草が可愛らしくて、思わず笑みが零れてしまう。
こんな子供のうちから快楽漬けにしてしまえば、もう元の純真無垢な子供には戻れないだろう。そんなことはわかっているし、彼女のことを思うならここで止めるべきだということも理解していた。そして何より、彼女やノアに対する罪悪感だって消えていないわけではない。
けれど。
「よいちゃ……♡」
「ん……?」
「あのね、あの……もっと、してほしいなって……♡」
こんなふうにふにゃりと柔らかい笑顔で続きを求められれば、断ろうだなんて思えるはずもなくて。それに、俺自身も心のどこかでまだ足りないと思っているのだろう。
その訴えに応えることにした俺は、返事の代わりにそっと唇を重ねた。