初恋
※kmt学園時空
※善逸が悪魔
――よし、今日も気づかれなかった。
1日を終える度に、ここが宗教系の学校じゃなくてよかったとつくづく思う。もし宗教系の学校だったら、すぐに俺が悪魔なのを見抜かれそうだ。
まあ、どちらにせよヘタレな俺だからいつかボロを出しそうな気がするけど。
なぜ俺が悪魔だと知られたら困るかというと、俺の委員会の先輩である**さんが修道女だからだ。知られたら、悪魔を魅了しただのなんだので先輩が刑罰を受けてしまうではないか。そうなると俺は彼女と会えなくなってしまう。
隠せばいいだろうと兄貴分は言うけれど、俺はそこまで隠し事が上手ではない。その上教会の人間というものは、炭治郎と同じかそれ以上にそういった匂いに敏感である。
だから、俺の初恋はなかなか実らせられないでいる。
*
「我妻くんだ。おはよ」
「おはようございます、」
「うん。昨日は大丈夫だった?変な生徒さんに絡まれたりしてない?」
翌日。
悩んでいる俺を見兼ねて、そっと声をかけてくれる先輩。その内容が彼女のことなんて、言えるわけがない。
「そんなのは毎日のことだから、もういいんです。それより…」
「どしたの?」
「…先輩、初恋ってどんな感じでした?」
踏み込み過ぎて拒絶されないように、恐る恐る問いかける。少しの逡巡の後、先輩は苦笑いしながらこう返してくれた。
「んー…幼い頃だからよく覚えてないなあ。どうかしたの?」
「もしもなんですけど…それが許されない相手だったら…なんて、考えたこと、ありますか?」
「許されない相手?…なんだろうね、先生とか?」
そう続ける彼女の口調は、まるでそういうことなど考えたこともないという風だ。俺がまさにそんな想いを募らせているとは知らず、平然としている。
――そうか。
――やっぱり、好きなのは最初から俺だけだったんだ。
「…なるほど、ありがとうございます」
少し零れてしまった涙を拭き、笑顔を作る。
委員会で聞いた話だが、悪魔を魅了したとして修道女に科される刑罰は火で炙ることらしい。
どうせなら俺の叶わない初恋ごと焼き尽くしてくれたらいいのに、なんて。