優しくあふれて溺れたい 前編

優しくあふれて溺れたい

※レオ夢ですが、クラウスさんとの絡みも若干あります。スティーブンさんとの絡みも示唆してます。
※夢主は15歳くらいですが、精神だけが幼児のままになっています。
※中国の都市伝説『桃娘』を若干マイルドにアレンジしたものとなっています。
※原作丸無視です。
※前後編です。


「――開けるぞ、**」
開けた扉の先の部屋は、明かりがぼんやりと点いていた。

僕はクラウスさんの義理の娘・**の世話係に就くことになった。
クラウスさんの兄の娘だが、実の父親の存在は少しだけしか覚えておらず、養育権はクラウスさんに移っているのだという。
ライブラ管轄の建物の一室に閉じ込められている彼女は、乳離れした時から水と果物、果物味の飲料やゼリーだけを摂取させられ、あえてそのように育てられてきた。他の栄養は点滴で摂っているが、常に点滴装置をつけているわけではないらしく、実際僕もあまり装置をつけた**は見ていない。
そんな彼女はある時から、目が見えにくくなってしまったようだ。

「**、私だ。クラウスだ」
「あ…義父さんと…だあれ?」
僕に気づいたらしく、クラウスさんに質問する**。大抵は薄暗い部屋に閉じ込められているからか、透き通るような白い肌をしている。
寝台から上半身だけを起こして、僕らの方を向く。
「レオナルド君だ。今日から**の世話をしてもらう」
「おじさんは…?」
おじさん、とはスティーブンさんのことだ。
今のところ僕以外だとクラウスさんとスティーブンさん、**が『お姉ちゃん』と呼ぶチェインさんが彼女と面識のある人らしい。
「ああ、スティーブンは色々と仕事が入ってしまってね。だが、風呂などは今まで通りチェインと一緒だから安心するといい」
**はクラウスさんの説明の意味がよくわからないようだ。
掻い摘んで僕が説明する。
「要するにね、君の『おじさん』は一緒にいられないよ、ってこと」
「…そう、なんだ…」
「うん。代わりに僕がお世話するからよろしくね、お風呂とかは『お姉ちゃん』と一緒だからね、って」
「わかった…」
彼女の頭を撫でようと、手を伸ばす。
「優しく触れ給え。彼女は刺激に弱いのでな」
「はい。…触るよ、」
「…うん、」
そっと優しく撫でただけで、**の体は崩れかけ、僕に縋らんと手を伸ばす。それを横で見ていたクラウスさんが彼女の手首を握って、その手を僕の服の上に誘導する。
「握るといい、**」
ぎゅっと布を掴まれる。蕩けた顔で僕を見上げる**。
そんな彼女に、視力を失った妹を重ねてしまう。
「…**。お兄ちゃん、って呼んでみて?」
「うん…もっと、お兄ちゃん…!」
「はいはい。もっと甘やかしてあげようね…」

リンゴン、と鐘がなる。
そろそろ**に夕食を与える時間だということらしい。
「義父さん…今日は、点滴するの?」
「ああ。取ってくるから待ち給え」
クラウスさんは彼女の身体を横たわらせ、部屋を出た。
「あのね、お兄ちゃん。いつもは点滴するときね、おじさんが刺してくれるの。でもね、今日から義父さん、なんだって」
「そっか…僕は刺せないよ?でも、食べさせてあげる」

先程部屋を出て行ったクラウスさんが戻ってきた。
持っているのはワゴンに乗せられた**用の夕食と、キャスター付きの点滴装置。
「**、右腕を伸ばし給え」
クラウスさんの指示通りに、彼女は何も纏っていない右腕をベッドの上に伸ばす。
「…んっ、」
定期的に刺されているとは言え、やはり痛みは感じてしまうようだ。
「大丈夫、痛くない?」
「あ…お兄ちゃんっ、大丈夫…だから、」
「食べれそう?」
「うん…」
「じゃあ、口開けて?」
口を開かせて、軸を手で摘んで、実を咥えさせる。
このアメリカンチェリーは種無しのタイプなので、**が種を飲み込んでしまう心配はなさそうである。
歯を立てて、皮を破る**。彼女の好みだったのか、彼女は顔を綻ばせた。
足りないだろうと思い、1個ずつ繰り返して与え続ける。
「ね、お兄ちゃん…そろそろ、お水頂戴?」
流石にアメリカンチェリーだけでは渇きは癒えないのだろう、**が水をねだる。
「クラウスさん、**を起こしていいですか?」
「ああ。装置をつけ終えたのでな。…レオナルド君、ベッドの上に乗るといい」
言われるがままに彼女の寝るベッドの上に乗り、塩とライチの純水割りが注がれたコップを近づける。
「はい。…**、これでいい?」
「うん…」
「流し込むから、しばらく閉じないでいるんだよ?」
開かれた口に流し込む。こくん、と飲み干す**。少し身じろぎしたのだろう、水が端からこぼれている。
「**、今拭いてあげるからね、」
置いてあったタオルを持ち、彼女の口元を拭く。
自分でも甘やかしすぎだなあと思うが、僕が頼ってもらえればそれでよかった。