優しくあふれて溺れたい 後編

※『優しくあふれて溺れたい』の後編です。

「チェインさん、**をお願いします」
「風呂だね。世話係、大変かな?」
「まあ、割と…でも、今はこれでいいかなって」
チェインさんは**を抱え、備え付けの風呂に連れて行った。

部屋に戻る途中で、クラウスさんに呼び止められる。
「レオナルド君、これからだ」
「え…?」
「スティーブンは**を可愛がっていたが、それ故に少々傷つけてしまっていたんだ。彼女は元々スティーブンに依存していた故離れられずにいたが、これ以上スティーブンの下に彼女を置くのは危険だと思ったのでな」
――ああ、だから僕が指名されたのか。
ザップさんも傷つけそうだし、ツェッドさんはそもそも自分が水槽に入る側だ。K・Kさんは夫と子供がいるし、ギルベルトさんは彼女の食事などを提供しているので、わざわざ世話係に回る余裕もないのだろう。
ライブラ外にも彼女のような子は何人かいるそうだが、同じように体は脆いらしい。
「先程も言ったが、**には優しく触れ給え。跡をつける程度なら構わないが、くれぐれもそれ以上は傷つけぬようにな」
「はい…わかっています。妹のように可愛がろうと思います」
「それが、いいのだろうな。…後はレオナルド君次第だ、と言いたいところだが私も行く」
「なぜですか?」
「傷つけぬか、監視せねばならないからな」
「成る程…」
戻ってきた僕らは、**の部屋の扉を開ける。

「**、おかえり」
入浴などを済ませたらしい**が、チェインさんに連れられて戻ってきた。**の点滴は外されていたが、どうやらチェインさんが入浴時に外したようだ。
「気持ちよかった?」
「さっぱりしたー。ありがと、お姉ちゃん」
チェインさんは**の髪をさらりと撫でる。
「本当に妹みたい…じゃあ、私は行くから」
ぱたりと扉が閉まり、再び薄暗い部屋になる。

**を座らせ、僕も彼女の前に座る。
「お兄ちゃん…っ、」
「…**?」
「さっきね、ずっと…お兄ちゃんのこと、考えてたの…」
「レオナルド君のことばかりをか…どうしてだね?」
「お兄ちゃんはどんな風にしてくれるのかな…って考えてたらね、力が入らなくなっちゃって…お姉ちゃんに、心配されちゃった…」
事実、彼女は座ってはいるものの、僕が撫でた時のように崩れかけている。
「スティーブンさんが…君の『おじさん』がどんな風にしたのかは知らない。けど、僕はもっともっと**のことを蕩けさせてあげる」
「ほんとに…?」
「うん。大丈夫だよ、優しくするからね」
**をできるだけ優しく押し倒す。
元々力が抜けていたのもあって、特に何の抵抗もなく彼女は体を横たえた。
「何してほしい?」
「跡…っ!跡つけてほしいの、お兄ちゃん…!」
蕩けきった顔でねだる**。今度は彼女の方から服を引っ張る。
「…と、言ってますがクラウスさん、どうすれば」
「うむ…**、なぜ跡をつけてほしいのかね?」
「お兄ちゃんのものにしてほしいの…っ!」
「仕方がない。…レオナルド君、今日限りにし給え」
クラウスさんに向けて頷き、**の方に向き直る。
「いいよ、**。――しょうがない子だね…」
首筋に、強めに跡をつける。
「…っあ…お兄ちゃんっ…!」
「**、今日だけだからね?」
「うん…っ、それでもいい、から…!」
僕の首に手を回す彼女。どうやら離してくれる気はないらしい。
「気に入られたようだな、レオナルド君。**、壊れそうかね?」
「…平気。お兄ちゃんは…優しいから、」
「くれぐれも壊さぬようにな。壊してしまったらどうなるか、わかっているだろうね?」
**はライブラ本部で『預かっている』という形のため、責任は僕ら世話係にある。壊してしまえば信用が置かれなくなるし、何より彼女が孤独になってしまう。
「上にさせるか…」
クラウスさんは、**を上に乗せるつもりらしい。
僕は彼女の上から降りて、隣で仰向けになる。とはいえ力が入っていない彼女には、身を起こすこともできないようだ。それを見かねたクラウスさんが彼女を抱え上げて、僕の上に乗せる。
僕に縋り付く**。僕らがいなければもう成り立たないとでも言いたげに、脆くて頼りなげな彼女。
**の手を取り、僕らは溺れさせていく。