ラムネと花火と君の手のひらの温度

夏祭り。夕焼けの空の下、恋人である篤くんが待つ駅前に着く。
彼は祭りを見るのも参加するのも好きなのだそうで、今私が着ている浴衣も彼がノリノリで用意してくれたものだ。もちろん彼も浴衣姿なのは言うまでもない。

「お待たせ」
「ああ。行くか、そろそろ」

履き慣れない下駄を鳴らしながら、歩いて何分もかからない会場に着く。
そこには焼きそばや綿飴、ヨーヨーなどの屋台が並んでおり、その中には影浦くんが店番をしている出張お好み焼き屋もあった。

「会うとはな、こんなところで」
「悪いかよ。……ついでだから、うちのお好み焼き買ってけ」
「ああ。いいか、2人分」
「毎度あり〜」

そうして2人で屋台を回り、たこ焼きやらりんご飴やらを買い込んだ。
食べずに持て余しているのももったいないからと歩いてすぐの距離のベンチに座り、とりあえずラムネの瓶を出す。

「開けようか、栓」
「え、いいの?」
「飲めないだろ、開けないと」

開かずに困っていたラムネ瓶の栓は、篤くんが簡単に開けてくれた。
しゅわしゅわと噴き出した炭酸の香りが、たこ焼きやお好み焼きのソースの匂いと混ざり合う。それはまさしく、祭りと聞いて想像できる匂いそのものだ。

「ありがと、」
「いえいえだ。よかったな、来れて」
「……うんっ、」

食べながら、彼としばらく談笑する。
と、ヒューという高い音と共に花火が上がった。花火大会を兼ねたこの祭りで、これが今日最初の花火だろう。そういえば、そろそろ日も落ちてきた頃だ。
どうせならこのままここで花火を見ていようということになり、そのまま目線を空に映す。

「今日がずっと続けばいいのにね、」

なんて、私より少し背の高い彼の肩に頭を預けた。
寄り添い重ねた手のひらの温度は、どうしようもなく温かかった。

お題 ▶︎ お題ガチャ「いろんなシチュガチャ」様より。