シャンティ・リップクリーム

最近、どうしようもなく悶々としている。学校の授業も防衛任務も、嘘みたいに手につかない。
その理由は他でもない。クラスメイトで恋人でもある**に、一週間のキス禁止令を言い渡されてしまったからだ。

「なあ、まだダメ?」
「だーめ。っていうか、昨日禁止したばっかなんだけど」
「ちぇ……」

そもそもどうして禁止令が出されたのかというと、俺が**にスキンシップをとりたがるのに彼女自身は少々呆れていたらしい。恋人なのだからこれくらい当たり前だと思っていたが、どうやらそれは彼女にとっては当たり前でなかったようで。

「公平には我慢ってものを覚えてもらわなきゃ。恋人だからって毎日一緒にいられるわけじゃないんだよ?任務だってあるでしょ?」
「お……おう」
「それに、もし我慢できたら……」

**はゆっくりと人差し指で自身の唇を撫で、それからそのまま指を顎に当てた。
堪らなく妖艶な仕草に見惚れている俺に、彼女は続ける。

「その分、気持ちいいキスになると思わない?」

***

あれから俺は何度も禁止令を破ってしまいそうにはなったものの、その度になんとか抑えて破らずに済んでいる。ついに約束の、一週間後がやって来た。
教室に入って早々**を見つけ、彼女の元に駆け寄る。

「おはよ、」
「……おう、」
「結局、我慢できたじゃん。やったね公へ……っ、んん!」

もう禁止令の期日は終わったのだから、今からしても破ったことにはならないだろう。というか、これ以上は流石に限界だ。
この場に米屋を始めとした他の奴らがいることにも構わず、俺の名を呼んだその唇を塞いだ。

「っ……は、やべ……っ」
「ちょっ……ここ、教室なんだけど……?」
「今日まで焦らしたお前が悪い……っ、」

確かに、我慢した分気持ちいいとの言葉は本当だった。キス自体は禁止されるまで毎日のようにしていたとはいえ、**に舌を絡めるくらい深く口付けたのはいつぶりだろうか。
とはいえ、一週間禁止されてよかったというわけでは決してない。禁止されていた分取り戻さなければ、彼女に口付けてやらなければ気が済まない俺がいるのだ。

「おいこら、朝から何してんだよ弾バカ」

米屋の声で、俺は**からようやく唇を離す。そろそろ、ホームルームが始まる頃だ。
そのあと俺が放課後まで彼女に冷たい態度を取られ続けたのは、言うまでもない。