ミドル・シフォン

放課後。
ノートの紙面に一通りシャープペンシルを走らせた俺は、『3年C組学級日誌』と書かれたそれの表紙をぱたりと閉じた。

「鋼くん、」

窓際に突っ伏して俺を呼ぶのは、先程まで一緒に日直をしていたクラスメイトの**だ。
俺と彼女は、誰にも秘密で付き合っている。もちろん同じくクラスメイトであるカゲや穂刈にも秘密で、互いを名前で呼ぶのも周りがそう呼んでいるのが移っただけということになっている。

「日誌書けた?」
「ああ、書けたよ。任務もランク戦もないし、今日でよかったな」
「確かに〜」

今この教室にいるのは**と俺だけだが、それは他の生徒が軒並み帰ったという意味ではない。部活や用事で普通に学校に残っている生徒もいるわけで、忘れ物をしたなどの理由でこの教室に来ることだってあり得るだろう。
とりあえず日誌を教卓に置き、彼女の待つ窓際へ向かう。

「あ、今窓閉めるとこ。でもちょっと惜しいな」
「どうしてだ?」
「今の時期の風って、超気持ちいいんだもん」

まだ閉めていない窓からは、オレンジ色の夕陽が差し込む。
隣に俺が並んだのを確認した**が窓枠に手をかけたところで、一際強い風が吹いた。

「ね、キスでもしてみる?」
「……**?」
「今なら、誰にも気づかれないかもね」

俺には少しだけ似合わないとも思えるほどロマンチックなその提案に、せっかくだからと乗ることにして。
風に靡くカーテンに隠れて、そっと**と唇を重ねた。

お題 ▶︎ お題ガチャ「いろんなシチュガチャ」様より。