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始まりの一日 2

「お客人…
 粗茶ですが、どうぞ」

「うわぁ♪
 八ツ羽やつはねのお菓子美味しいよー!」


歌留多が目を白黒させているそこへ、八ツ羽やつはね長船おさふねがやってきた。
八ツ羽は摺り足で、抹茶と茶菓子をお盆に載せて…
長船は軽く飛び跳ねるように、台の前に座り込み、その茶菓子を摘んでいた。


「八ツ羽は兎も角
 長船はいいのか!!」


私は長船の幸せそうな顔を見て、視線を目の前の御方に戻した。


「これを届けていただき
 ありがとう御座います」


私は傍らに置いていた乾いた番傘を、少し相手に見えるよう持ち上げて言った。


「無視か!?」

「偶然拾ったまで
 礼には及ばぬ」


何かごちゃごちゃと五月蠅い歌留多と私に向かって、目の前の御方は柔らかな笑みを浮かべていた。
まるで、微笑ましい光景を目にしているかのような、何処か達観した眼差しだ。


「うわぁ、見付かったの!
 ありがとうお客さん!!」


嬉しそうに喜ぶ長船に、番傘を渡してやると、頬擦りして更に喜んでいた。


「これで、お散歩に行けるね!」

狗の雨宿り