はじまりの玩具
「おれはあくまなんかじゃねぇ!」
燐と雪男が遊んでいた積み木を、走り回っていた子がぶつかって崩されたのが原因だった。
「あともうちょっとでかんせいだったのに…」
残念そうに呟く雪男に、ぶつかった子は謝りもしないでまた走り始めた。かっと頭に血がのぼり腹が立った。気が付けば手のひらには血が付いていて、救急車を呼ぶ声や園児達の泣きわめく声、そして保母や園長の「やめなさい!燐くん!」の声だった。
こんなことをするつもりじゃなかったのに、全ての音が遠ざかりドクンドクンと心臓が脈打った。救急車のサイレンが聴こえた頃には園内から飛び出ていて、なりふり構わず走った。夕陽が世界を赤と黒のコントラストに染める。それでも燐の手についた赤は消えたりしない。すれ違った買い物帰りの主婦達が囁き合う。
「またあの子ね」
「まるで悪魔だわ」
「おれはあくまなんかじゃねぇ!」
振り返ってそう言い返し、逃げ出した。もう何も聞きたくなかった。
燐が無我夢中で辿り着いたそこは…
→公園
→ここ…どこだ?