2 やりたい事



入学式から数日。
入学二日目にして早速授業があったものの、流石の先生達も生徒の気持ちを汲み、最初は自己紹介だったり、これからの授業の主な内容の説明だったりと比較的楽な事が多かった。
あっという間にこの一日もあっという間に過ぎ、後はショートホームルームだけとなっていた。


「今日も楽だったね!英語なんて、いきなり授業内容に入らなくてちょっとほっとしちゃった」

「そうだね。でも湊さん、現国の時寝てたでしょ?口から涎垂れてたよ?」

「えっ、嘘!?」


涎という言葉に反応して、とっさに口元を押さえる桜華。
その素直な反応に、幸村はくすくすと笑った。


「ふふ、嘘だよ(むにゃむにゃしながらケーキ美味しい……って寝言は言ってたけどね。すごく幸せそうな顔で)」

「もう、幸村君!」


入学してまだ間もないというのに、幸村は桜華をからかう事が楽しいと言うのに気付いたらしい。
そんな二人のやり取りを前の席で聞いていた理央は、不機嫌そうな顔で振り向いた。


「幸村、私の桜華をからかわないでくれる?……桜華をからかっていいのは私だけなんだけど?」

「(何それ!っていうか私ってそんなにからかいやすいの……!?)」

「そうなのかい?おかしいな……からかってるつもりはないんだけれど。ただ桜華さんと楽しく話しているだけだよ?やだなあ悠樹さんは」


幸村のその言葉に、眉を顰める理央。
この二人は、桜華の事になると見えない火花が飛ぶ。
しかし、当の本人はあまり気付いていない。
クラスの中では、早速に名物三人組となっていた。


「ふーん……白を切る気ね、幸村精市」

「なんの事かな?」

「おのれっ……!」


何故か古風な喋り方になった理央はいきなり立ち上がり、そのまま後ろの席にいる桜華に思いきり抱きついた。


「きゃっ!ちょっと、理央どうしたの……!?(恥ずかしいっ……!)」

「ふふん!幸村、羨ましいでしょ?女子同士だったらこんな事が出来るのよ?」

「うん、同意もなしにはセクハラに近いんじゃないかな……?」

「女子同士じゃセクハラにならーん!」

「そこ、静かにしろ!悠樹はちゃんと着席しろ!」


いつの間にか教室に来ていた担任に名指しされ、理央は「うっ」と声を漏らしながら、名残惜しそうに桜華から離れ、着席した。
それと同時に、担任が話し出す。


「今からショートホームルームを始める。皆そろそろ新しい生活には慣れてきた頃だと思う。そこでだ、今日から部活の仮入部、及び見学の期間に入る。もう決めている奴もいるかもしれないが、この学校は部活が多い。色んな部活を見学するのもいいだろう」

「部活かあ……そういえば全然考えてなかったなあ」

「湊さんは小学校の時とか何もしてなかったの?」

「うん、特には。どうしよっかな……?」


桜華が悩んでいるうちにも、担任は部活についての話を進めていった。


「我が立海大附属は部活は全員強制入部となっている。どの部活でもいいから、とりあえずは籍を置かなければならない。まだ決まってない奴は、とりあえず沢山の部活を見に行け。何か一つくらいはやりたいことが見つかるはずだ。見学及び仮入部の期間は本日より一週間。本入部は期間終了後からとなる。とりあえず今日の連絡事項は以上だ。それでは、お疲れ様」


担任の話が終わると同時に、この間決まったばかりのクラス委員が「起立、礼」と掛声をした。これでこのクラスの今日一日が終わる。


「そういえば幸村君はテニス部だって言ってたよね!今日から仮入部するの?」

「うん、そのつもり。何回か見に行ってはいたんだけど、仮入部は今日からしか無理だって言われてて……だから今日がすごく楽しみだったんだ」

「そうだったんだ!あ、だから今日はテニスバッグなんだね!」

「ふふ、そういう事」 


放課後、帰る支度をしながら部活の話をしていた幸村と桜華。
今日の理央は「私バレー部の仮入部参加してくるから、またねっ!」と、あっという間に教室から出て行った。
桜華は内心、理央は部活決まってていいなあ……と羨ましく思っていた。
彼女はまだまだ決めかねているのだ。


「(私も早く決めたいなあ……でも何したらいいか、部活表見せられても全く分からないよどうしよう……!)」

「あ、いたいた。……幸村君。テニスコートまで一緒に行かないか?」


桜華が悩んでいるところに、彼女のよく知っている声が教室後方のドアから聞こえた。
誰もが見た事のあるその姿。
そして彼女にとってはよくよく見知った人物。


「やあ柳君。うん、そろそろ行こうと思ってたところ。一緒に行こう」

「あ、蓮二だ!」

「桜華?なんだ、幸村君と仲良かったのか」

「それはこっちの台詞!どうして蓮二が?……ああそっか!テニス部だね?」

「ああ。この間テニスコートで偶然会ってな。そこで知り合った」

「そうなんだ!」

「え、ちょっと待って。二人は知り合いなの?」


二人の会話から取り残されていた幸村は、とっさに質問した。
すると、柳と桜華から意外にもあっさりと答えが返ってきた。


「桜華とは小学校が同じだったんだ。神奈川第二小学校」

「蓮二は転校生でね、私が最初に声をかけてからずっと友達だよ!優しいし、頭もめちゃくちゃ賢くて、いつも勉強教えてもらったりしてたんだ!立海の受験の時もお世話になって」

「そうだったんだ……お互い名前呼びだから、すごくびっくりしちゃった」


幸村は自分でもよく分からない程驚いていた。
自分以外に桜華に仲の良い男子がこの学校にいた事に。
柳を嬉しそうに褒める桜華に、何故だか不思議なもやもやしたものを感じながら。
彼以外の二人はそんな事とは露知らず……話はそのまま続けられていく。


「して桜華は、何の部活に入るんだ?」

「えっ!」

「……まあ、答えは大体分かっているがな」


柳が桜華の痛いところをついた。
その質問に、当然の様に彼女は返事に少し詰まってしまう。


「うーん……まだ決まってないんだよね。とりあえずは色々見てみるつもりだけど……部活表見てもあんまりピンと来なくて」

「やはりな。その確立は100%だった」

「今日、何か見に行く予定は?」

「特には決めてないかなあ……。でも本当ピンとは来てないけど、とりあえず見に行かないと始まらないからどこかには行くつもりだよ!」


苦笑いを浮かべた桜華の表情を見て、幸村は「あっ」と考え付いた時の様に小さく声を発すると、続けて言った。


「じゃあ、テニス部一緒に見に行く?」


幸村の提案に、桜華はぽかんとした表情を浮かべる。
隣で聞いていた柳はその提案に少し不意を突かれつつも、彼女の代わりに返事をした。


「幸村君、俺達は男子テニス部だ。桜華を連れて行っても、意味はないと思うんだが……」


柳の最もな意見に、桜華もうんうんと頷く。
しかし幸村は軽く笑って、「ほら」と話を続けた。


「男子テニス部マネージャーとかは?この間見学した時に部長が言ってたよ、マネージャーが辞めちゃって今いないって。色々と困ってるらしいよ」

「テニス部のマネージャーかあ……」

「なるほど、そういう事か。それなら、桜華を連れて行く事にも納得出来るな」

「だろ?どうかな、湊さん。別に見に行くだけだし、選択肢を増やす意味でも……ね?すぐに決めなくたっていいんだから」


幸村は言い終わると、ゆっくりと桜華に微笑みかけた。
その綺麗な微笑みに思わず顔を桃色に染める桜華だったが、彼からの提案が嬉しくてそのままこくりと頷いた。


「うん、じゃあ折角だし行ってみようかな!……テニスのルールとかあんまり分からなくても大丈夫かな……?」

「見るだけなら問題ないよ。マネージャーになりたいって思った時はまた勉強すればいいんだし」

「では決まりだな。そろそろ行かなければ遅れてしまう、急ごう。桜華、幸村君」

「うん!(テニス部かあ……どんな感じなんだろう!強いって事は厳しいのかな……?なんか緊張してきた!)」


こうして、桜華は幸村、柳と共に男子テニス部の見学に行く事になった。
少し駆け足でテニスコートに向かうと、そこは仮入部希望者で溢れていた。
それは彼女が想像していたより遥かに多く、彼等のその熱気に圧倒されそうになる。


「うわあ……凄い人!想像してたよりずっと多くてびっくりしちゃった!流石は立海テニス部、本当に強いんだね」

「全国の中でも有数の名門校だからね。テニス目当てで入ってくる生徒も多いみたいだよ。俺もそうだし」

「しかし予想以上の人数だな……。全員仮入部させてもらえるのだろうか」


そこにいる全員が皆、張り切った様子でテニスバッグを担いぎ、部活前に打ち合いをしている上級生達を食い入る様に見ていた。
この様子からするに、仮入部の受け付けはまだの様だった。
どうやら三人は間に合ったらしい。
よかったと安心しながら桜華がきょろきょろと辺りを見回していると、視線の先にフェンス前にいる帽子を被った一際目立つ少年の姿を捉えた。


「(あの男の子、誰よりも真剣にテニスコート見てるなあ……なんだか分からないけど、雰囲気だけでもう強そう!帽子も目立つ!)」

「どうしたの湊さん?」

「あのね、あそこにいる帽子の男の子、なんか周りの子達とは違うなって思って……」

「帽子?……ああ、真田じゃないか。おーい、真田ー!」


幸村は手をメガホン替りにいつもより大きな声で、帽子の少年……真田を呼んだ。
それに気付いた少年は、表情をそのままに幸村の姿を捉えると少し険しい表情を崩した。


「む?……何だ、幸村ではないか。姿が見えなかったのでどうしたのかと思っていたぞ」

「ちょっと教室で柳君と湊さんと話してたらギリギリになっちゃってね」

「そうか……ん?湊さんとは誰の事だ」

「ああ、じゃあ真田にも紹介するよ。今日一緒に来てるんだ」


真田と呼ばれた少年に幸村は近付くと、何やら話をしている様だった。
その際に何故か幸村が自分の事を見て指をさしている事に気付き、桜華はなんだろう……?と首を傾げた。
ドキドキとしながら待っていると、幸村に「こっちにおいでよ」と手招きされたため、桜華と柳は彼等の元に向かった。


(近くで見たら、何かすごい雰囲気だ……!)


桜華がそんな事を考えながら真田を見ていると、その視線に気づいたのか真田は少し顰めた顔で桜華の方へと向いた。
その顔と雰囲気に、桜華はビクっと体を震わせる。


「幸村、湊さんというのがこいつだというのは分かった。……だが何故女子がここにいる。ここは男子テニス部だ。女子のコートはあっちだったぞ」

「あ、いや、その……」

「真田、違うんだ。彼女は男子テニス部のマネージャー希望で見学に来たんだよ。だからここであってるんだ」


真田の威圧感に押されていた桜華の代わりに幸村が答える。
その答えを聞いた真田は納得したのか、先ほどよりかは幾分和らいだ顔で彼女を見た。


「マネージャー希望の者だったのか。先程はすまなかった。……俺は真田弦一郎。幸村とは通っていたテニスクラブが一緒だった縁でな」

「あ、はじめまして!私、幸村君と同じクラスの湊桜華って言います。……私こそ、さっきははっきり答えられなくてごめんなさい」

「お互い様……だな」

「ふふ、そうだね!」


真田に先ほどの威圧感はほとんどなく、桜華も普通に接せることが出来ていた。
表情には出さない様に彼女は心の中でほっと息をついた。


「真田君って、Jr.の大会で良く上位にいたよね」


二人の自己紹介が終わり空気が和んでいたところ、柳が真田に声をかけた。


「む、俺のことを知っているのか」

「勿論。幸村君の次に有名だからね」

「……そ、そうか」

「(幸村君って有名なんだ!っていう事は、テニスすごく強いんだろうなあ……)」


「幸村君の次」という言葉に若干のショックを受けている真田だったが、そこに更に追い打ちをかける一言が飛んできた。


「仕方ないよ真田、君、俺には勝てた試しがないじゃないか」

「っ……これから負かしてやる!」


真田は悔しそうにさっきの様に顔を顰め、そっぽを向いた。
その様子を見ていた幸村は挑発的な顔をして、「これからも勿論俺が勝つよ」と堂々の勝利宣言をしていた。


「すごい、何だか次元が違うなあ……というか、すごく楽しそう!」

「ふふ、そうかな?あ、そうだ。さっきから言おうと思ってたんだけど、柳君、俺のことも真田のことも呼び捨てでいいよ。これからチームメイトとしてやっていくんだし。あと、しゃべり方ももっと楽な感じで」

「そうか……では遠慮なくそうさせてもらう」

「無理されるのは好きじゃないからね」

「だったら、俺のことも呼び捨てで構わない。無理されるのは俺も好きじゃないしな」

「なら、俺もそうさせてもらうよ」


四人で話をしているうちに、いつの間にか仮入部の受付が始まっていた。
それに気付いた三人は、慌てて受付まで向かっていった。
三人が行ってしまい、自分はどうしたらいいんだろうと思っていた桜華の元に、先程受付に向かったはずの幸村が戻ってきて桜華に声をかけた。


「湊さんはこの辺りで見てるといいよ。部長には俺から言っといてあげるから」

「うん、分かった!ありがとう幸村君、助かります」

「ん、どういたしまして。じゃあ、また後で」


そう言い終わると、幸村はまた受付の方へと足早に戻って行った。


「やっぱり幸村君は優しいなあ。おまけに美形だし、それにテニスも強いなんて…。神は二物を与えないなんて嘘だね、うん」


そんな事を考えながら桜華は顎に手を載せ、一人納得したようにうんうんと頷いていた。
少しすると、コートの中から「集合!」の大きな声が聞こえてきた。
いよいよ部活が始まる様だ。


「部活始まったのかな。あ、三人ともちゃんと並んでる」


幸村、真田、柳の三人は、学校指定の体操服に着替え、後ろの方に整列していた。
その周りは、同じ格好をした100人近くいるであろう仮入部希望者で溢れ返っている。


「本日の部活を始める。本日から新入生の仮入部が始まった。希望者が多いため、先程分けた班ごとに練習を行う。まずA班は球拾いだ。次にB班は……」


部長と思われる上級生が、仮入部希望者に今日の練習メニューを伝えていた。
一通り伝え終わると、何故か部長は真剣な眼差しでゆっくりと幸村、真田、柳を見据えた。
その場に突如緊張が走る。


「幸村、真田、柳。お前達は一度俺たちと打って、実力を見せてもらう。異議は認めない」


言い終えるとその上級生は続けて、「……監督と話し合った結果だ。すぐに試合を始める、急いで準備しろ」と三人を促した。


「三人とも、いきなり試合なんてすごい……!やっぱり、すごく強いんだ……監督や先輩もそれを知って……」


仮入部の一年が試合をするなど異例中の異例。
そのいきなりの三人の試合に、こそこそと陰口を叩く者や、不満を露わにする者もいた。
だがその場にいる三人の実力を知っている者達は「やっぱりな」という表情だ。


しばらくすると、三人と、そして上級生達はそれぞれのコートへ入った。
相手は全員三年生の様だ。
その中でも、幸村の相手は先程の部長らしき上級生だった。
きっとこの部で一番強い人物であろう事が容易に想像できた。
桜華も緊張してしまう。


「ザ・ベストオブワンセットマッチ 柳サービスプレイ」


審判の掛け声とともに試合が始まった。
一番最初に柳のコートが、そしてほぼ同時に幸村のコートと真田のコートも試合が開始された。
始まると同時に、いきなりの凄まじいラリーの応酬。
テニスには詳しくない桜華が見ても、凄い試合だという事は目に見えて明らかだった。


「すごい……これが立海大附属中学校男子テニス部……」


思わず息を呑み、コートを見つめる。
一瞬たりとも見逃せない、目が金縛りにあったかの様に桜華はその視線を離せずにいた。
それは彼女だけではなく、試合前に陰口を言っていた者や、不満を溢していた者の同じだった。
皆、唖然としたように三人の試合を見ている。


「皆、必死でボールを追いかけて打ち返してる……。あれだけ動いたらしんどいはずなのに、何だか凄く楽しそう!……あんな風に皆が楽しそうにテニスが出来る様に、サポート出来たらきっと自分も楽しいんだろうなあ」


ああそっか、これだ。
見つけた、桜華はそんな気がした。
この学校に入って、楽しい生活を送る……そんな大まかなものじゃなくて、もっとちゃんとした目標が。
幸村に「見つかるから大丈夫」だと言われたものが、今、桜華には見つかった気がした。


そう考えていると、いつの間にか試合が終了していた。
結果は、真田、柳は惜敗。幸村はなんと7−6で上級生に勝利していた。


「流石幸村……噂通りの強さだな」

「……部長足、怪我してますよね?庇ってるの分かりましたよ」

「怪我を理由にはしない。俺が挑んだんだからな」

「はい、今回は俺の勝ちです。……でも、怪我が完治したらまた試合して下さい」

「フッ…ああ、望むところだ」


こうして試合は幕を閉じた。
その後は仮入部者も各々の振り分けられたグループに課せられた課題をこなし、部活が終わったころには辺りはすっかりオレンジ色に。
挨拶が終わり仮入部生は先に解散だという事で、幸村達三人は急いで更衣室に戻ると着替えを済ませた。
「湊さんを待たせちゃってるから急ごう」と言う幸村の言葉に二人は頷くと、駆け足で桜華の元へ向かった。


「湊さんお待たせ。待たせちゃってごめんね?」

「幸村君お疲れ様!ううん、大丈夫だから謝らないで?あ、真田君も蓮二もお疲れ様。試合凄かったね!鳥肌たっちゃったよ……!本当に三人とも強くて……!」

「今回は負けたが、次は負けない」

「同感だな。先輩のデータは完璧に取れた。次の対戦で負ける確率は0%だ」

「俺は次も勝つけどね」

「ふふふ、三人とも負けず嫌いなんだね。頑張ってね、真田君、蓮二!幸村君は、次も負けないでね!」


にこっと笑ってそう言うと、桜華はそのまま続けた。


「さっきの試合見て思ったの。皆本当に楽しそうにテニスしてて、テニスなんかあんまり知らない私でも思わず見入っちゃって!それ見てたら私、これからずっと皆が変わらず楽しくテニス出来る様にサポートしたいって思って。だから、私……」


そこまで言うと桜華は一回深呼吸をして、そしてまた、今度はしっかりと三人を見据えて言った。


「私、テニス部のマネージャーになりたい!皆のサポートがしたい!……こんな理由じゃダメ、かな……?」


それを聞いた幸村は、微笑みながら優しく桜華の頭を撫でた。
その行動にどきどきして、思わず顔を赤らめた。


「湊さん、ありがとう。そう言って貰えて嬉しいよ。湊さんがサポートしてくれたら、俺より頑張れる気がするよ。……来週、一緒に入部届出しに行こうね?」

「うん……!」

「桜華がマネージャーか……。賑やかになりそうだ」

「テニスで分からない事があったら聞け。教えてやる」

「ありがとう真田君!えへへ、嬉しいなあ」

「……真田、ダメだよ?」

「む、何がいけないのだ」

「真田、やめておいた方がいい」

「湊さん、分からない事があったら俺に聞いて?何でも教えてあげるから」

「ありがとう幸村君!でも、真田君や蓮二にも教えてほしいな?きっとわからない事多すぎて、幸村君だけじゃパンクしちゃうかもしれないから!」

「そう言う事なら任せろ」

「ああ、存分に頼れ」

「全く、仕様がないなあ……(何で俺、さっきちょっと真田に嫉妬したんだろう?……いいか、今はまだ深く考えないで)」



(幸村君、この細い身体のどこからあんな力が出てくるの……?)
(ふふ、湊さんが思っているほど俺華奢じゃないんだよ?)
(そうなの?(どう見ても華奢に見えるんだけどなあ……?))
(腕とかほら、ちゃんと力こぶも出来るし。テニスでちゃんと鍛えてるからね)
(あっ!本当だ!すごい……!男の子って感じだね、かっこいいなあ!)
((かっこいい、か……湊さんってきっと素でそう言う事言っちゃうんだろうな。心臓に悪い))
((幸村が心臓を高鳴らせた確率、94%……全く、桜華は無自覚だから怖いな))




あとがき

元々の文章はあまり変えたくないので、なるべく残しながらの加筆修正になっています。
この頃はまだあまりみんなを絡ませられなくてもやもやです。