みまもる
湊が出たいと申し出た大会の日。
同じ部活の夏也だけでなく、あの箱学大会メンバーが応援に来てくた。
出場予定のなかった箱学のメンバーの姿に、取材陣は非常に沸き立った。
スタート前、近くで応援してくれたのは夏也だった。
「ゴールで待ってるからな!頑張れよ!」
『うん、頑張るね』
大会のスタート合図があり、そこから進み出す自転車の軍団。
湊も軍団の後ろ側からスタートした。
今回のレースの道なりは初めに訪れるのはスプリントコース、その先にある山岳コース、そして800メートル先のゴールという道のりだった。
湊はクライマーであるため、スプリントコースで前に出ることはしなかった。
そして前に15人いる段階で山岳コースに入った。
そこからの湊は速かった。
前の15人を抜き去り、1番で頂上へと辿り着いた。
そこには応援に来ていたあの山神と幼馴染の山岳の姿もあった。
山頂を制した湊が山頂から下った先にあるゴールに辿り着いたのは3番目だった。
ゴールをし、震える足に力を入れ何とか通路から出ることに成功した湊はそのまま座り込んだ。
そんな湊に肩を貸したのはゴール前で応援してくれた福富、新開、荒北だった。
いい走りだったと言う福富の言葉に湊はボロボロと涙を零した。
そんな湊の涙を隠すように荒北は湊の頭から真新しいタオルと被せた。
そして荒っぽく頭を撫でた。
『悔しっ…ですっ…』
「ああ」
荒っぽく湊の頭を撫でていた荒北は段々と優しい手つきに変わった。
表彰式が終わり、スタートと山頂にいたメンバーと合流後、わざわざ出してもらった学園バスに乗り込んだ。
バスに乗り込む前に湊は山岳と合流した際、張り詰めていた気が一気に抜けたのか、足に力が入らずガクンっと崩れ落ちた。
そんな湊を倒れこむ前に山岳が受け止め、抱き上げてバスへと乗り込んだ。
ヒューっと口笛を吹く新開の隣には少し顔を赤くして、真波の行動に驚いたような表情の東堂と荒北がいた。
「アイツら、付き合ってンのか?」
「さあ?」
「あの2人付き合ってないっスよ」
「たしか堀北は湊と同じクラスだったか」
「はい。まあ、1年ではあの2人の仲は噂されてますけど」
「アレは、されるダロ」
応援に来たメンバーは、そんな会話をしながらバスに乗り込んだ。
そしてバスが出発して暫くすると1番後ろの座席に乗っていた湊は隣に座ってる山岳に体を預けるようにくっついてスヤスヤと眠っていた。
山岳もまた湊と体がくっついている方の手を繋いだまま湊に体を預けるようにスヤスヤと眠っていた。
振り返った東堂と荒北はまたしても顔が赤いまま口をぽかんと開けており、新開は愉快そうに笑った。
夏也は黙ってスマホを取り出して、湊と山岳の様子を写真に収め、りつへとメッセージを送ったのであった。