ご近所さん
「あら、湊ちゃん、今帰り?早いわね」
『はい、中間テスト前なので部活休みで』
自宅の近くで山岳の母親とばったりと会った。
湊が中間テストの事を言うと山岳ママは少し困った顔をした。
「それ今日から?」
『そうですよー』
「あちゃー、やっちゃったなあ…」
『どうかしたんですか?』
「明日から私と湊ちゃんのお母さんと3泊4日するって話はもう聞いてるよね?」
『ええ!!?』
「あら、聞いてなかったの!」
驚いていると買い物袋を下げた湊の母親が2人のもとへとやってきた。
「2人ともこんな所で立ち話?」
『お母さん!明日から旅行なの!?』
「あれ、言ってなかった?」
『言ってないよ!!!』
「言ったつもりだったわ、ごめんごめん」
「うーん」
「どうかしたの?」
「さっき夫から電話かかってきて今週は出張先から戻れないらしくて、山岳1人になっちゃうからご飯とかどうしようかなって」
「湊作ってあげたら?」
『えっ!?』
「料理できるでしょ?」
『まあ、出来なくはないけど』
「どうせ今週はこの子も1人だし、湊も山岳くんと一緒なら寂しくないでしょ?」
山岳の事を気に入っている湊ママはそう提案した。
その時、山岳がタイミング良く帰ってきた。
「あれ?何してるの?」
「山岳!ちょうど良かった。昨日旅行のこと話したじゃない?お父さんは急遽出張延長で帰れなくなったみたいで」
「そうなんだ」
「山岳くん!その間ご飯はウチの湊が作るから!」
『決定事項なわけね』
「本当!?あ、湊ちゃんも1人なんでしょ?危ないし家に泊まりなよ」
『ええ!?』
「一緒にテスト勉強もできるでしょ?」
『う、うん…(勉強なんてしないでしょ)』
「山岳くんが傍に居るなら安心だわ!」
「明日から気兼ねなく旅行に行けそうね!」
「そうね!」
「湊ちゃん、山岳の事よろしくね」
『はい』
「湊ちゃんなら安心だわ、いつでもお嫁に来ていいからね」
『えっ』
この2人はそれでいいのか。
一応、幼馴染とはいえ、年頃の男女だよ!?
という湊の思いは伝わらず、明日から山岳の家に泊まることになったのであった。