じわじわと近付いてく
「湊ちゃん、山岳の事頼むわね」
『はい、わかりました』
「山岳くん、湊の事よろしくね」
「任せてください」
「頼もしいわ〜」
「それじゃあ、行ってくるわね」
「何かあったら連絡するのよ〜」
山岳ママと湊ママは仲良く旅行へ出かけた。
出張中の山岳パパと単身赴任中の湊パパはもちろん帰ってこず、今日から3泊4日山岳の家で過ごすことになった。
ちなみにいつもの朝の山は山岳ママと湊ママを見送る為、行かなかった。
『山岳、さすがにテスト来週だからまっすぐ学校行こう?』
「山行きたいな」
『よく遅刻してるんでしょ?だから今日はだめ』
「ええー」
『一緒に学校行こ?前から山岳と一緒に行きたかったの』
「湊ちゃんずるい」
2人は既に制服は着ていたため、それぞれの家から鞄を持ってき、自転車で学校へと向かった。
その様子を2階の部屋の窓から委員長が見ていた。
2人が学校に着いた頃、早い時間だった為まだ人は少なかった。
「あれ?この時間に珍しく真波くんがいる!」
聞き覚えのある声に体ごと振り返ると、そこには凛が立っていた。
凛の服を見ると部活の時に着ている服だった。
『え、昨日から部活休みじゃ…』
「そうなんだけどね、朝自主練するメンバーいるからついね」
『朝練やっていいんですか?』
「朝だけ自主練ならいいんだよー」
『そうだったんですね、手伝います』
「いいよいいよ、今日の分はもう終わったから!それよりも2人とも、赤点だけは取っちゃだめだからね!」
『はい、わかりました』
「はーい」
凛と別れ、湊の教室の前までやってくると、湊はじゃあねと言い教室に入った。
山岳も自分の教室に行くと思っていた湊だったが、湊の前の席、夏也の席に山岳は座った。
『山岳?』
「湊ちゃんと同じクラスが良かったなー」
『え』
「湊ちゃんは?」
『私も一緒のクラスがよかったよ』
「よかった、オレだけじゃなかった」
『ん?』
「ねえ、湊ちゃん。目瞑って」
『うん』
山岳の言う通りに目を瞑る。
そして唇にふにっと柔らかい何かが触れた。
驚いて目を開けると目を瞑った山岳のドアップが視界に映った。
湊は顔が真っ赤になり固まっていると、山岳は嬉しそうにヘラッと笑った。
「湊ちゃん顔真っ赤」
『だっ…て、山岳がっ…!』
「オレが、なに?」
『キス…してくるからっ』
「イヤ?」
『…っ』
「答えて、湊ちゃん」
『イヤじゃ、ない』
「かわいい」
『バカ山岳』
「そろそろ皆登校してくる時間だから教室に戻るよ」
チュッと湊の頬に口付けてご機嫌な様子で教室から出ていく山岳。
湊は顔を真っ赤にして机に突っ伏したのであった。