お悩み相談
『あ、靖友さん』
「湊チャァンじゃナァイ」
湊は荒北が座っていたベンチの隣に座った。
少し浮かない表情をして、小さい声でうーんと唸っている湊に荒北は軽くため息をついた。
「なんだァ、微妙な顔して」
『靖友さんって表現の仕方が失礼ですよね』
「ウッセ」
『…あの、聞いてもいいですか?』
「あ?」
『お、男の人って、好きじゃなくても、キ、キスできますか?』
「ブホッ」
荒北は思わず飲んでいたべブシを吹き出した。
そして少し顔を赤らめている湊を見て、なんとなく察した。
「されたンだねェ」
『…はい』
「正直、好きじゃなくてもデキる」
『そうですよね』
「だからイヤならイヤって言った方がイイヨ」
『はい』
「でもまァ彼氏にされたら嬉しいもンじゃねェの?」
『その、…彼氏いません』
「ハァ!?彼氏じゃないヤツにされたのかヨ」
『はい』
「ったくヨォ。もう少し危機感を持て、危機感を!」
『やしゅともしゃん、ほっぷぇのびりゅー』
「伸ばしてンだヨ、まぬけチャァン」
手加減しているとはいえ、伸ばされた頬はじわじわと痛みがきて、湊は無意識に涙目になっていた。
そんな湊の顔を見て少しだけ意識した荒北はパッと手を離し顔を逸らした。
「とりあえず、少しは気ィ付けろヨ」
『?』
「絶対わかってねェな…」
荒北はチッと舌打ちした後、片手で湊の頬を摘んで顔を近づけた。
「唇なんてすぐ奪えンダヨ」
いつもは意識していなかった荒北の色気に湊はカッと一気に赤くなり、ギュッと目を瞑った。
そんな様子に荒北は大きくため息をついた。
「そこは突き放さねェと本当に奪われンダヨ、バーカ」
『いたっ』
そう言ってデコピンをした荒北に、湊は安心したように笑った。
その後、湊が教室へ戻るため立ち去った時、代わりに別の人がやってきた。
「靖友、よくしなかったな、あそこで」
「あ?見てたのカヨ」
「見えたんだよ」
荒北の傍に来た人物は新開だった。
「アイツには天然チャァンがいるだろォが」
「でも付き合ってはないみたいだぞ」
「だったらなンダヨ」
「気になるならアタックしてみたらどうだ?」
「メンドクセェ」
舌打ちをしながら立ち上がる荒北に新開は面白そうに笑った。
そして2人は教室に戻っていった。