3候補



「ちょっと山岳!!今日という今日はちゃんと課題やってもらうからね!!!」
「ええ〜、もう学校終わったよ〜」
「だーめ!!普段からサボってる分を課題提出したら許してもらえるように頼んだんだから!」

カバンを持って帰ろうとする山岳を引き止めていたのは山岳の幼馴染の委員長こと宮原だった。

「今日は早く帰らせて?お願い、委員長」
「ダメったらダメ!!」

湊は今日から3泊、山岳の家で過ごすなら一緒に帰ろうかなと思い山岳がいる教室を覗くと、このような光景が視界に映った。
昔からよく見かけていた光景に湊は苦笑し、そっと山岳達の教室から離れた。

「湊〜」
『りつ?』
「部活休みだからさ、遊びに行かない?」
『…来週テストだよ?大丈夫なの?』
「うっ…だって、勉強嫌なんだもん」
『まあ、それはわかるよ』
「でしょ〜!あ〜イケメンが教えてくれるなら頑張れるんだろうなあ」
『イケメンねぇ〜』
「俺らがいるじゃん!」
『夏也、玲音』
「確かに玲音はイケメンだけどさあ」
「え、俺は!?」
「フツー」
「ひっど!」
『あはは、夏也もかっこいいよ』
「湊〜すきだ〜!」
「誤解を生む発言して痛い目見ても俺は助けないからな」
「え、玲音まで見捨てないでくれよ!?」
『あ、夏也は化学得意だったよね?りつ苦手でしょ?教えて貰ったら?』
「うわああん!勉強の話に戻った〜!」
「まだ1年の中間だぞ?そんなにヤバいのかよ」
「どうせ頭の出来良くないですよーっだ!」
『放課後残って教室で勉強する?』
「俺はいいぜ」
「俺も!」
『じゃあ、私も』
「わかったよー、こうなったらやるよ!」

4人は席をくっつけて放課後2時間ほど勉強をしていた。
それぞれ区切りのいいところでペンを置くと力尽きて机に伏せる者もいれば、大きく伸びをする者もいた。

『そろそろ終わる?』
「そうだな、暗くなるし」
「もう…むり…」
「お疲れ、りつ」
『ヘトヘトだねえ』
「勉強もうやだよおおお」
「学生の本分だろ」
「そうだけどさあああ」
「ほら暗くなる前に帰るぞ」

玲音の掛け声に、皆は帰り支度をし、教室を出た。
そして話しながら下駄箱に向かっている時に、湊は手首を捕まれ、グイッと後ろに引っ張られた。
驚いて、ひゃっと思わず声が出た湊に、3人も後ろを振り返った。

「湊ちゃんも今から帰るの?」
「「真波!」」

夏也とりつは声を揃えて湊を引っ張った真波の名前を呼んだ。
玲音はああ、こいつが噂の…。と思いながら、状況を見ていた。

『あれ?宮原ちゃんは?』
「委員長?いるよ」
「山岳!急に引っ張ったら湊ちゃんが転んじゃうでしょ!」
「ね、いるでしょ?」
『うん、それより離して?』
「ええー」
「山岳!離しなさい!」
「ちぇー」

山岳と委員長の光景に夏也とりつと玲音はポカンとしていた。
湊は山岳から離れるとポカンとしている3人を見てどうしたの?と首を傾げた。
その時、後ろからまたもや聞き慣れた声が聞こえた。

「真波と湊ではないか!」
「あ?まだ帰ってなかのカヨ」
『尽八さんと靖友さん!』

笑顔で2人の元へやっていく湊。
真波も2人に向けて笑い、奇遇ですねえと言った。

「3候補揃っちゃったね」
「俺、笑いそう」
「答えわかるかもな」
「んー、それは微妙だな」

ひそひそと話す夏也、りつ、玲音。
3人の顔はまるでおもちゃを見つけたいたずらっ子のようだった。

『あ、今日は赤ですね、カチューシャ』
「よく気付いたな!最近のお気に入りなのだよ」
『尽八さんオシャレですもんね』
「湊、コイツを褒めるナ、さらにウザくなるカラ」
「ウザくはないな!!」
「とりあえず、お前らは早く帰れヨ、暗くなるカラ」
『靖友さんってやっぱり優しいですよねぇ』
「湊ちゃん、帰ろう」
『うん!それではお2人とも失礼します!』
「おう、気を付けて帰るのだよ」

荒北と東堂に挨拶をすませると、湊は夏也、りつ、玲音のところへ駆け寄った。

『3人とも待たせてごめんね』
「いや、おもしろかったから」
『え?』
「こっちの話!」
「ほら、真波待ってるよ、一緒に帰るんでしょ?」
『うん』
「俺らバスだから、じゃあまたな」
「私こっちだから!またね!」
『宮原ちゃんは?どう帰るの?』
「私はバスよ」
『そっか、私自転車だから帰るね』
「あ、待って、湊ちゃん」
『え?』
「今日山岳の家に…と、泊まるの?」
『う、うん。山岳から聞いたの?』
「ううん、今朝窓開けたら会話聞こえちゃって」
『朝からうるさくしてごめんね』
「それはいいのよ!ただ、一応年頃の男女なんだから、気を付けなさいよ?」
『宮原ちゃん心配性だなあ』
「何か困ったら呼んでよね」
『はあい』
「湊ちゃん、帰るよ」
『あ、待って!宮原ちゃんまたね!』

湊は話終わると自転車に跨り山岳と共に家に帰ったのであった。



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