キス



学校のチャイムがなり、中間テストの終わりをむかえた。
湊の隣の席のりつは机に突っ伏せ、前の席の夏也は大きく伸びをした。

「お、おわった…長かった…」
『お疲れ様、りつ』
「湊〜!遊びに行こ〜!」
『今日から部活だから、ごめんね』
「そうだった!」
「あの、黛さん」
『え?はい』
「放課後少しだけ時間くれないか?」
『あ、うん、わかった』
「えっ!湊ってばモテ期!?」



HRが終わると各々鞄を持って教室を出ていった。
教室には先程話しかけてきた男子と湊だけが残っていた。

「悪いな、時間もらって」
『ううん、大丈夫だよ』
「あの、さ…聞きてえ事あるんだけど、隣のクラスの真波と付き合ってんの?」
『え?付き合ってないよ』
「ま、まじか!仲良さげに見えたから」
『幼馴染なの』
「幼馴染と、キスすんの?」
『へっ!?』
「この前階段のとこで真波と黛さんがキスしてんの見た」
『えっ、と、それはっ』
「オレさ!黛さんのこと好きだ。だから、オレの事、意識してくんね?」

男子が湊との距離をつめ、驚いた湊が後退る。
しかし後ろの壁が湊の逃げ場をなくした。
所謂、壁ドンをされている状態の湊はドキドキよりも恐怖心が勝り、ギュッと目を瞑って俯いた。
そんな湊の顔に己の顔を近付ける男子。

「ねえ、なにしてるの」

ガラリと教室のドアが開き、静かに怒りを含んだ声が聞こえた。
男子は驚いて振り返り、湊は聞こえた声に安心し目を開けた。

『さんがくっ…!』
「邪魔すんなよ、真波。お前ら付き合ってねえんだろ!」
「湊ちゃん、おいで」

湊の近くに来た山岳は湊の手を掴むと、自分のもとへと手を引いた。
抵抗することなく、山岳の腕の中におさまる湊に少なからずショックを受けた男子は声を絞り出すよう湊に言葉を投げた。

「黛さん、オレ、諦めねえから」

そういうと男子は鞄を持って教室を出ていった。

「湊ちゃん、大丈夫?」
『うん、大丈夫だよ』
「嘘下手だよね、まだ震えてる」
『嘘じゃないもん』
「湊ちゃん、こっち向いて」
『んっ…だめっ、山岳』
「どうして?オレとキスするのイヤ?」
『イヤじゃない、けど』
「オレは湊ちゃんとのキス好きだよ」

山岳の啄むようなキスを、湊はなんだかんだ受け入れていた。



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