溺れる



「湊ちゃん、家上がって」
『え、でも』
「お願い」

山岳はそう言うと、湊の手を引いて、山岳の部屋まで導いた。
そして湊を自分のベッドに座らせ、そのまま湊を抱きしめた。

『さっ、山岳?』
「湊ちゃん、オレ苦しいよ」
『ええっ!?どこか打った!?怪我!?』
「ううん」
『どうしたの?』
「…足りない」
『えっ?』

山岳は何か言いたそうな目をしていた。
そして片手は湊の腰をホールドしたまま、もう片方の手は湊の頬を優しく撫で、言葉を飲み込むように湊に口付けた。
くちゅくちゅと唾液が混じり合う音を立てながら、ゆっくりと2人はベッドに沈んだ。

『さっ、がく…』
「湊ちゃん、かわいい」

山岳は優しい眼差しで、蕩けた表情をしている湊の頭を撫でた。
そしてもう一度、口付けをしようと顔を近付けた時、階段を上って部屋に近付いてくる足音が聞こえた。
湊は赤い顔のまま、慌てて体を起こし、ベッドから降りた。
山岳は邪魔されたと言うように少しムスッとした表情をしてベッドに座った。
コンコンとタイミングよくノックされる扉。
そしてゆっくりとドアが開くと、そこには山岳ママが立っていた。

「やっぱり湊ちゃん来てたのね〜」
『お、おじゃましてます』
「あら?顔赤くないかしら?」
『えっ』
「もしかして邪魔しちゃった?ごめんね、山岳!頑張って湊ちゃんゲットするのよ!」
『ええっ!?』
「あはは、湊ちゃん顔真っ赤」
『もう!山岳までからかわないで!』

湊がムッと唇を尖らせると山岳は少しだけ顔を赤くした。
そんな2人の様子を見ていた山岳ママはニヤニヤとしていた。

「山岳、頑張りなさいよ〜」

そう言ってニコニコ笑顔でドアを閉めた山岳ママ。
それと同時に山岳は湊の腕を引き、尖らせていた唇を奪ったのであった。




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