意識
湊が部活の朝練に行くと、タイミングよく東堂に会った。
『おはようございます!尽八さん』
「ああ、おはよう。ん?首どうしたのだ?」
『えっと、掻きむしってしまって』
「そうか。次からは傷を作る前に薬塗らないとだな」
『はぁい』
「湊、ここ跳ねてるぞ」
『ん…』
東堂は指摘した箇所の湊の髪を撫でるように整えた。
その時、東堂の指先が湊の耳を掠め、湊は思わずビクリと反応してしまった。
東堂は湊の反応にどことなく色気を感じてしまい、戸惑ってしまった。
『尽八さん?』
「あ、ああ。どうした?」
『髪整えてくれてありがとうございます』
「ああ。どういたしまして」
部室行きましょうと言って、前を歩き始めた湊。
東堂はそんな湊の後ろ姿を見て、先程感じてしまった色気を思い出してしまった。
「(どうしてしまったのだ、東堂尽八)」と思いながら、東堂は空を見上げたのであった。
部室には寮組の凛と志穂が既に居た。
湊は挨拶をすると2人とも笑顔で答えた。
3人は大量のドリンク作りをしながら、談笑をしていた。
「湊ちゃんって山岳くんの幼馴染だったんだね!」
『はい、そうですよ』
「いいなあ!あんなかわいい幼馴染!!」
「志穂だって幼馴染が隼人なんだからイケメンだしいいじゃない」
「私はかっこいいよりかわいい方が好きなんです!」
『え、隼人さんの幼馴染だったんですか』
「そうだよー!まあ、私は弟の悠人の方がタイプなんだけどね!」
『かわいい系なんですね』
「相変わらずだねえ」
「それより私が休んでる間に、凛さんは寿一さんと付き合ったんですか?」
「つ、付き合ってないよ!?ド、ドリンク作り終えたから配ってくるわね!」
「私もノルマ達成したので行きますー!逃がしませんよー!」
『(2人とも朝から元気だなあ)』
湊は洗濯機が置いてある通りを通ってトレーニングルームに向かった。
途中、洗濯をしている葦木場を見つけると、多めに作っていたドリンクを1つ渡した。
「湊ちゃん、ありがとう」
『いえいえ!私もドリンク配ってきますね』
「転ばないようにね」
『はーい』
湊はトレーニングルームに着くと、練習をしていたオールラウンダーの人達にドリンクを渡した。
「湊、首どうしたァ」
『か、掻きむしっちゃって』
「掻きむしった、ねェ」
湊は咄嗟に絆創膏を貼っている首に手を被せた。
少し戸惑い気味に答える湊に荒北は違和感を感じていた。
「言いたかねェンなら良いけどよォ、困った事があんなら頼ってもいいンだからな」
『靖友さん、やっぱり優しいですね』
「ハッ、ソウカヨ」
湊がふふっと笑うと、荒北は少し照れたようにそっぽを向いていた。