彼女になって
りつは湊の首に絆創膏が貼られていることにすぐに気付いた。
そして夏也や玲音が来る前に湊に耳打ちをした。
「そんなとこに絆創膏貼ってたら、キスマークつけられたみたい」
りつは冗談で言ったつもりだったが、湊がボンッと赤くなったので、もしかして本当にキスマークなのでは?と思った。
「え、湊もしかして」
『えっと、その』
「キスマーク、なんだね?」
『…はい』
「これは真波王子に見られないようにしないと」
『その…山岳に、つけられたの』
「はあ!!?も、もももしかして、アンタ達付き合ったの!?」
『ううん、付き合ってはないよ』
「…シちゃった?」
『………うん』
「真波に限って遊んでるとは思えないけど、ちゃんと話し合った方がいいんじゃない?」
ボソボソと小さい声で話しているりつと湊の元に夏也と玲音が「何してんのー」と呑気に話しかけてきた。
「そういえば湊、今日東堂さんと部活来てただろ〜」
『うん、朝バッタリ会って』
「やっぱ東堂さんだよなあ!お似合いだし」
「いや、何言ってんの、真波王子でしょ、そこは」
「俺は東堂さん派!」
「オレは荒北さん推すけどな。昼時々会ってるみたいだし?」
『なんで知って!?』
「廊下歩いてたら見えたから」
「へえ、お昼に荒北さんと会ってるんだ〜」
「「「真波!?」」」
椅子に座ってる湊の背後から話しかけてきたのは山岳だった。
湊が振り返ると山岳とバッチリ目が合ったが、表情こそニコニコしているが、目が怒っていた。
「湊ちゃん、オレには会いに来てくれないの?」
『朝会ってるじゃん』
「え、朝練真波居なくね」
『うん、朝練来る前に山岳とロードで山登ってるから』
「ま、まじか」
「なんか、真波ってば嫉妬してる彼氏みたいだね」
「えっ」
『り、りつ!?』
「そんなに湊が大事なら付き合えばいいのに」
「おいおい、りつ。真波の背中押すなよ」
「だって!見ててもどかしいから!」
「俺、東堂さん派なんだけど!?」
「へえ、キミ、東堂さんと湊ちゃんにくっついて欲しいんだ?無理だろうね」
「なんでだよ!?」
「東堂さん、ああ見えて鈍いし」
「じゃあ、荒北さんは?」
「渡すつもりないよ」
真波はそう言うと湊が座っている椅子の横にしゃがんだ。
そして湊の手を取って自分の口元にもってきて、ちゅっとキスを落とした。
『さ、山岳!?』
「湊ちゃん、好きだよ」
『っ!!』
「オレの彼女になって?」
『わ、たしで、いいの?』
「湊ちゃんがいいの、だめ?」
『だ、だめじゃない。彼女になる』
「へへっ、やったー」
山岳が嬉しそうに湊に抱きつくと、周りでこの光景を見ていた人達に祝福された。
「よかったね、湊」
『ありがと、りつ』
湊が照れくさそうに笑うと、りつはよしよしと湊の頭を撫でた。
そして山岳と湊がくっついた噂は一気に広まるのであった。