彼氏として紹介



「それで?湊はいつになったら彼氏連れてきてくれるの?」
「ブッ」
「ゴフッ」
『お、お母さんっ!』

久しぶりに単身赴任中の父と一人暮らし中だった兄が時期を合わせて帰ってきた日の食事中に母が急に言い始めた。
父よりも友人達いわくシスコンな兄の方がめんどくさいから言ってなかった湊は母の無鉄砲な発言に頭を抱えたくなった。

「彼氏って!?聞いてないんだけど!?」
『言ってないもん』
「俺、明後日までいるし、それまでに連れてこいよ。見定めてやる!」
『ええー』
「お父さんも気になるなー」
「お母さんも気になるんだけどなあ〜」
『…まあ、明日部活休みだしいっか』
「あら!もしかして同じ部活の人かしら?」
『うん、ちょっと待ってて、聞いてみるから』

そう言ってスマホを触り始めた湊。
『お母さん達に彼氏連れて来いって言われてる』と送ると「今から行くよ」とすぐに返事がきて、『(今から!!?)』と驚き、スマホを落としそうになった。

「どうした?」
『えっと』

返事をしようとした時にピンポーンとチャイムが響いた。
「誰だろう?」と呟き、玄関に向かった兄。
そして、玄関から「おお!久しぶりだな!」「お久しぶりです〜」と話し声が聞こえた。

「あら、山岳くんいらっしゃい」
「ほら、あがれあがれ!」
「山岳くん、いらっしゃい」
「おじさんもおかえりなさい〜!お邪魔しま〜す」
「ああ、ありがとう」

ニコニコしながら家にあがった山岳。
湊の家族は昔から山岳の事を可愛がっていたため、快く迎えた。

「さっき、湊に彼氏ができたって話してたんだよ。山岳知ってたか?」
「知ってますよ〜」
「まじか!山岳知ってるのに俺は知らないって何だよ湊!」
『知ってるもなにも』
「オレです。湊ちゃんの彼氏」
「…ん!?」
『山岳と付き合ってる』
「なん…だと…」
「そうか、山岳くんだったか。それなら安心だ」
「湊、昔から山岳くんのこと大好きだったもんね」
「えっ」
『お、お母さん!!』
「そうなの?湊ちゃん」
『…そ、うだけど』
「へへっ、嬉しい」
「あああっ!山岳くっつくなー!」
「良いじゃない、彼氏彼女なんだから」
「お前は妹離れしなきゃだな。山岳くん、湊をよろしく頼むよ」
「はい!」
「なんで父さんは余裕そうなんだよー!!」

しばらく兄は騒いでいたが、山岳はニコニコ笑ったまま湊を離そうとしない様子に兄のほうが先に折れたのであった。




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