05

「そろそろ学校行けよ」
 ベッドでごろごろする俺に、隆介が制服を着ながら呆れたように言う。
 あれから三日が経っている。その間俺はずっと学校を休んでいる。普段から遅刻や欠席の多い俺は、出席日数が足りているか心配だ。普段から面倒くさがらずに、日数を数えておけばよかったと、今更ながらに後悔する。
「行きたくねぇなぁ」
 学校に行けば、聡と顔を合わせる羽目になるだろう。家にも連絡を入れていないし、さすがに心配しているかもしれないが、まだ聡と会う気にはなれない。未だに混乱しているし、出来ればこのまま一生会いたくない。だが、家族だからそういうわけにもいかない。
 だらだらとこのまま隆介の家に居続けても迷惑だろう。
 ちゃんと聡と話し合う必要があると、頭では分かっているが、聡の言い分を聞くのがなんだか怖い。
「留年すんなよ」
 隆介は俺の頭を軽く小突いて、冗談めかして言うと、慌ただしく家を出て行った。今日も朝練があるのだろう。部長だから色々と忙しそうだ。
 枕に顔を押し付ける。このまま布団に溶け込んでしまいたい。
 隆介にはまだ事情を説明していない。だが、俺が言いたくないことを察して、深くは聞かずにいてくれている。俺にとっては有り難いが、いつまでも甘えているわけにはいかない。
 うだうだと悩んでいても、何の解決にもならない。いつまでも引きずるだけだ。


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-家庭内密事-
-彼の衝動-