06

 はっと目が覚めると、窓から差し込む明るい日差しに眼が眩んだ。時刻は昼を過ぎている。いつのまにか眠ってしまっていたらしい。
 寝すぎて重たい頭を抱えて身を起こすと、お腹が鳴った。
「腹減ったな…」
 昨日の夜から何も食べていない。
 気怠い身体を奮い起こして、リビングへと向かう。テーブルには隆介が気を遣って置いておいてくれたのだろう。袋に入ったロールパンがあった。隆介に感謝して、有り難くいただく。
 食事を摂って覚醒してくると、布団をかぶって暖かい日差しの中で寝ていたために、少し汗ばんでいる身体が気になってきた。
 昼間から申し訳ないが、シャワーを借りることにした。お詫びに今日は隆介に夕飯を作ろうと考えながら、脱衣所で服を脱ぎ、風呂に入る。
 シャワーを出して、お湯になるまでしばらく待つ。
 否応がな、鏡に映る自分が目に入る。スポーツもしていないから、筋肉も付いておらず、貧相な身体だ。こんな身体を触って、何が楽しいのか全く分からない。
 聡に触られたことを思い出して、顔がサッと赤みがかる。夢で見ていた現実で、聡は俺の胸や太腿、脇腹などを撫でてきた。乳首を引っ張られる度に、小さな疼きが生まれ、執拗に続けられると、それはさらに大きくなっていった。思い出したくもないのに、一度思い出すと、芋蔓式に記憶が思い起こされ、脳内で再生される。
「……っ!」
 俺は信じられない光景に眼を瞠った。鏡に映る俺のモノが熱を持ってきている。
「くそっ、収まれよ…!」
 あんな記憶で反応してしまうなんて、どうかしている。
 だが、俺の意とは裏腹にどんどん固くなっていく。
 俺はへなへなと床に座り込み、何とか興奮を鎮めようと、気を落ち着かせようとするが、なかなかうまく行かない。
「……んっ」
 俺の手は自然とそこに導かれ、上下に扱き始める。今まで自分でしたことなんてなかったのに、手が勝手に動く。
「…ぁっ、ん……」
 必死に手を動かすが、何だか物足りない。知らない間に聡に散々弄られた身体は、自分が気持ちいい場所を熟知している。
 警報が頭の中で鳴り響くが、俺の手は言う事を聞かない。乳首を指の腹で擦ると、だんだんと芯を持ってくる。
「…ぅっ…、ぁ…」
 唇を噛んでも、声が漏れてしまう。
 下腹部に重たいものが溜まっていく。目を閉じて、聡の手つきを必死に思い出す。鈴口を軽く爪で引っ掻くと、びくりと身体が痙攣した。何も考えられなくなって、ただただ手を動かす。
「――んぁああっ…っ!」
 扱く手を速め、乳首をぎゅっと抓ると、背筋がびくびく痙攣して、白濁が弾けた。
 息を乱して、ふと顔を上げると、鏡には乳首を赤く腫らして、顔を上気させている自分がいた。
 急に興奮が冷め、周りの温度が下がったように感じた。
 手のひらには精液が惨めにこびり付いていた。


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