05

 狼は俺の胸から口を離すと、前足で器用に俺を転がし、四つん這いにさせた。そして今度は背中を舐め始める。荒い吐息が背後から漏れ聞こえる。
「北折…、助けて…、――ッ!?」
 震える声で助けを呼ぶも、この状況から抜け出す術はない。しかも狼は、今度は俺の蕾に鼻を埋め、そこで匂いを嗅ぎだした。
「おい、なにして…、…ッ!」
 狼はぐりぐりと鼻を押し付け、濡れそぼった鼻先で、俺のそこを押し広げようとする。
「や、やだ…っ!…やめ…ッ!」
 狼は、這って逃げようとする俺の腰の上に、前足を置いた。爪を立てられるのではという恐怖から、逆に腰を突き出すような姿勢になってしまう。
 待ってましたと言わんばかりに、狼の鼻先が俺のナカに侵入ってくる。
「…ぁ、…や、…ぁ、ぁ」
 くんくんと、ナカの匂いを思う存分嗅ぎまわされる。腸内の空気が入れ替わるという、今まで味わったことのない感覚に、身体が驚いてびくびくと跳ねる。
「…や、め…、ぁ…、ぃ…、っ…」
 悔しさと恐怖に唇を噛みしめる。
ようやく満足して、鼻先が出て行ったかと思ったのも束の間、今度は肉厚な舌が侵入してきた。
「イ゛ッ――!」
 先ほどの鼻や人間の指よりも優に太く、濡れそぼったものが、俺のナカに割りいってくる。内臓を押し広げられるような感覚に、息が詰まる。
「…やめ、ろッ…、う…、ぁ…」
 長く太いそれは、俺の全てを暴かんとするかのように、奥へ奥へと挿入ってくる。暴れまわるそれは、ナカの粘膜をも舐め尽くそうとしているかのようだ。
 生理的でもあり、屈辱的でもある涙が目から零れ落ちる。獣に全身を舐めまわされ、あろうことか内臓までも暴かれている。
 痛みと屈辱的な行為に耐えるように、ごつごつとした岩の地面を掻きむしる。爪が割れて、血がにじむ。
「…ぃ、…や、だっ…、くッ…、…、――んアァッ!」
 俺のナカで暴れまわる舌が、ある一点を掠めた瞬間、上ずった声が漏れた。慌てて手で口を塞ぐが、狼は俺が感じたことを察したかのように、その一点をしつこく舌で押してくる。
「…んっ、んっ、…あッ…」
 下腹部に熱がどんどん溜まっていき、俺のモノはみるみるうちに立ち上がって、先走りに濡れていく。痛みが快感に塗り替えられていく。
「いやだ、…あぁっ…、ん、…やだ、…ふっ、…んぁ…ッ」
(獣の舌なんかで感じたくない…!)
 それでも、俺の想いとは裏腹に、身体は外界からの刺激に素直に反応してしまう。胎内の一番感じる部分への直接的な刺激に、俺の身体はすぐに高みに上りつめていく
「…アっ、…んぅ、…ふッ、んん…、ダメだッ、イく…っ、いやだ…ッ」
 だが、俺が絶頂に達する寸前に、舌がずるりと引き抜かれた。
「ァ……」
 急な喪失感に脱力するように、地面に突っ伏す。しかし、乱れた呼吸を整える間もなく、狼が俺に覆いかぶさり、後ろ足で俺の腰をがっちりとホールドする。
「……?」


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-家庭内密事-
-彼の衝動-