05

 言われた瞬間、首まで羞恥で真っ赤に染まる。
「ち、違」
「違くないよね。だってこれ、どう見てもランジェリーだよ」
 男は下着を少しずらし、収まっていた俺のモノを取り出し、便器に向ける。人に触られたことのない場所を触られ、羞恥心と嫌悪感が俺を襲う。
「い、いやだ、やめろっ…!」
 言葉では抵抗するものの、急所を握られてしまえば、もうろくな抵抗ができない。
「女装するのにブラを着けるのは分かるけど、下まで履く必要ないよね?クラスの子に履かされたの?…それとも、きみの趣味?」
「うるせぇっ…!んな訳ねぇだろ…っ!黙れ…!」
 肩越しに男を睨みつけるも、男は相変わらず愉快そうに嗤っている。
 男は俺の下腹をさすったりして、放尿を促してくる。
「やめろ…っ!本当に…、もう、頼むから…っ」
 いやだ。こんな屈辱的な体勢で、しているところを見られるなんて、冗談じゃない。絶対にいやだ。
 だが、限界が近づいてきているのは、変えようのない事実だ。
「いやだ、いやだ…ッ!離せよ…ぉッ!頼むから…ッ」
 やばい、もう限界だ。また下腹部を押されたらと思うと、恐怖が湧き上がってくる。
「分かったよ。そんなに可愛くお願いされたら、断れないよ」
 下腹部を撫でさすっていた手が止まったかと思うと、俺が想像していた最悪の展開が訪れた。
「ま、まさか…っ」
 男の指が、下腹部をぐっと押さえこむ。
「―――ッ、あ、ぁ、ぁ、は、…ぁ」
 じょろじょろという水音が鼓膜に響く。
 とうとう我慢できなかった。一度解放してしまえば、全てを出し終えるまで止まらない。
 放尿する俺のそこには、屈辱的にも男の手が添えられている。
自然と目尻からツーッと、一筋の涙が零れる。
男に補助されながら、用を足している光景が受け入れられない。
見知らぬ男の前で、本来さらけ出してはいけない部分を、無理矢理こじ開けられた。人として大事なものを、土足で踏みにじられたも同然だ。プライドはずたずたに引き裂かれ、心が脆く崩れていく。


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-家庭内密事-
-彼の衝動-