08

「ともやくんはさ、女の子になりたいんだよね」
 そう言って男は、俺の眼の前にスマホをかざす。
 その画面に映っていたのは、セーラー服を着た俺が、己を慰めている写真だった。姿見の前で四つん這いになり、自らの指を後ろに挿入している。
 女装姿でアナニーをする俺を、自室の窓越しに外から盗撮されたのだ。
 驚愕に目を見開く。
「お前、これ…っ」
「お前じゃないだろ」
 その言葉と共に、奥のしこりをぐっと押され、背中に電流のような快感が走る。
「―――んぁっ!」
「杉村慧太だから、慧太さんって呼べ」
 ぐりぐりと感じる部分を押され、襲い来る快感の波に身を捩る。
 男の猫なで声が、いつの間にか攻めるような口調に変わっている。
「…あ、…んぅ、…ぁ、ん…、っ…」
「えっちだよな、知也は。自分のケツに指突っ込んでさぁ。男にヤられてるの想像して、一人でイってたんだろ?」
 男の言葉に、ずっと心に秘めていた過去が思い出される。
 俺が女装を始めたのはちょうど中学生になった頃だった。
 従姉が俺の家に泊まりに来たあと、従姉が忘れて行ったミニスカートを見つけてしまったのが事の始まりだった。
 一人っ子だった俺は、スカートを触ること自体が初めてで、深い考えなしに興味本位で履いてみた。自分の姿を姿見で見た俺は、男なのにスカートを履いているという状況が、何だか背徳的に感じられて、あろうことか女装した自分の姿で抜いてしまったのだ。
 その後、従姉がスカートを忘れたと言いに来たが、従姉には探したが見つからないと嘘を吐き、そのスカートを隠し持ち、抜くときに使っていた。
 女の身体になりたいわけではなかったが、イケないことをしているという背徳感が病みつきになり、やめられなくしまった。溜まると女装して抜くことが、すっかり癖になってしまったのだ。
 そして、時と共に女装はエスカレートしていき、ネットで女装用のセーラー服やメイド服などを買ったりするまでになった。様々な衣装で乱れる自分に、ひどく興奮してしまうからだ。


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-家庭内密事-
-彼の衝動-