11 萩原は浅井の先走りを指で掬うと、その指を奥の窄まりに宛がった。 息を飲む浅井の耳元で、萩原は「大丈夫だよ」と囁く。 つぷり、と指先が入り込む。異物感に眉を顰める浅井を安心させるように、萩原が浅井に口づける。 「…ぁ、…んぅ、…はぁ…ッ」 中を拡げるように、指が挿入ってくる。 徐々に甘い感覚が芽生えてくる。 萩原の匂いで高まっているのか、萩原の手管に翻弄されているからなのか、どちらなのか最早分からない。今となっては、どちらでもいい。 指の本数が増やされる。 「…ぁ、…ふ、んぅ…、ァアっ……!」 萩原の指が奥のある一点を突いたとき、背中に強烈な電流が走った。すると萩原は執拗にそこを指の腹で押してくる。 「…萩原ッ…、そこ、いやだッ…、やめ…、ァッ…」 自慰の時とは比べ物にならない程の、快感の波が押し寄せてくる。 「浅井、かわいい…」 萩原が恍惚と呟く。 浅井は萩原の下で喘ぐだけで、精一杯だ。 「浅井、挿入れたい」 制服の前を寛げた萩原が、浅井の後ろに自信を宛がう。それだけで、指の比ではない大きさだと予感する。 「…むり、そんなの、入らない…っ!」 萩原が腰を進める。後ろがみちみちと音を立てる。浅井はその痛みに、背を仰け反らせる。 「…ア、…ァ、…アぁ…ッ」 その時、風向きが変わった。萩原の雄の香りが、肺に流れこんでくる。痛いはずなのに、浅井の腸壁は萩原を飲み込もうと、自ら蠢きだす。静脈に直接、媚薬を投与されたのかと思うほどに情欲が刺激され、息が詰まる。 「浅井のナカ、すごい…ッ」 浅井は萩原のモノをすっかり飲み込み、萩原を締め付けるように蠕動している。 「イきたい…っ、イきたい…ッ」 浅井が自ら腰を振る。絶頂までの道のりが、苦しい。早くイッてしまいたい。淫らな自分を恥じる心はどこかへ消えて、今はもう射精のことしか考えられなくなってしまっている。 「浅井、浅井…っ」 萩原も必死に腰を打ちつける。浅井の乱れる姿に、萩原も理性を失いかけている。 「あぁ…っ、ぅ、はぎはらぁ…っ、もっと、もっと…ッ」 奥を突かれる度、強烈な射精感にみまわれる。浅井は萩原を抱き寄せ、深く唇を交わす。 最奥を突いた瞬間、二人はほぼ同時に弾けた。 「―――あぁぁッっ!」 奥に、どくどくと注ぎ込まれていくのが分かる。浅井の背がびくびくと痙攣する。頭が真っ白になり、声にならない声が漏れる。 「浅井、かわいいよ、浅井」 萩原は慈しむように、浅井の身体中にキスを降らせる。 もう匂いなんて関係なかった。萩原自身を強烈に感じている。 「好きだ、浅井」 萩原の告白が、遠くの方で聞こえる。浅井はそのまま意識を手放した。 -家庭内密事- -彼の衝動- |