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「おはよう、浅井」
 教室に向かって、廊下を歩いていると、萩原が肩を組んできた。
「…おはよう」
 浅井は低く呟くと、萩原を押しのけるように、萩原の手から抜け出して、速足で教室へと向かっていく。
 浅井の性癖がバレてから、萩原はずっとこの調子だ。今まではほとんど話したことすらなかったのに、急に頻繁に話しかけてくるようになり、スキンシップまでするようになった。周りに浅井の性癖のことを言い触らしたりはしていないようだが、萩原が急に浅井に話しかけるようになったことに、周りは困惑してるようだった。
 萩原は普段、人にべたべたするような性格じゃないし、自分から人に話しかけることも少ない。それなのに、急に浅井との距離を詰めた萩原に、周りが困惑するのも無理はないだろう。
 萩原に完全に面白がられている。わざとスキンシップをとって、浅井をからかっているに違いない。このまま関わっていれば、きっとろくなことがない。
 萩原から早く遠ざかろうと、浅井は足早に廊下を歩いて行った。


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-家庭内密事-
-彼の衝動-