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コンパートメントの中ではすごく楽しい時間を過ごすことが出来た。
約束通りリーマス先輩は隣に座ってくれたし、学校のこともみんな面白おかしく話してくれた。
話しながらシリウス先輩にサンドイッチの中のチキンを取られたりそれを見たピーター先輩が蛙チョコをくれたり(カードはニコラス・フラメルだった)。
ジェームズ先輩が好きな人はリリー・エバンズ先輩ということや、先輩達が「悪戯仕掛人」と名乗って様々な笑いを誘う学校中の人気者だと言うこともわかり、これからの学生生活にわくわくした気持ちが抑えられない。

「僕達がオリヴィアと一緒に学生でいられるのはこの一年だけだけど、きっと忘れられない一年にするよ」
「はいっ!」

七年制の学校で先輩達とはたった一年しか一緒にいられないことはすごく寂しいけれど、リーマス先輩がそう言ってくれるので元気よく返事をした。

やがて窓の外が真っ暗になった頃、列車は動きを止めた。
列車から降りる時までリーマス先輩はずっと手を繋いでいてくれて、こんなに素敵な先輩に出会えて私はかなりの幸せ者だと心から思う。
そして遠くの方から大きな(本当に大きな)人が新入生を呼ぶ声がしたので、もう行かなくちゃならないと思いリーマス先輩を見上げると、リーマス先輩はまた屈んで目を合わせてくれた。

「オリヴィア、新入生は学校への入り方が在校生とは別だから少しの間お別れだよ」
「先輩、」

リーマス先輩が言ったお別れという言葉に、ほんの少しの間とわかっていてもツキリと胸が痛くなった。
それが顔に出てしまったらしい私の頭をシリウス先輩が後ろからわしわしと撫で、屈んでいるリーマス先輩の後ろに立っていたジェームズ先輩とピーター先輩が大丈夫、と安心する笑顔を見せてくれる。

「グリフィンドールで待ってるからな」
「オリヴィアもリリーみたいに綺麗な赤髪だし、グリフィンドールで間違いないよ」
「うん、オリヴィアはきっとグリフィンドールだよ」
「君達ねぇ、オリヴィアから選択肢を奪うのは良くないよ。それにグリフィンドールじゃなかったらオリヴィアが気を使うだろう?」

先輩達が口々にそう言ってくれるので、心に羽がはえたように軽くなった。
リーマス先輩はどこまでも優しい人だと改めて思ったけれど、先輩にもどうしても言ってほしい事があったので、私は意地悪な質問を口に出してしまう。

「リーマス先輩、」
「ん?」
「リーマス先輩は、私がどの寮に入ったらいいと思いますか?」

わざわざ口にしてもらわなくても、きっと思ってくれていることを私はどうしてもリーマス先輩の口から聞きたかった。
なぜこんなにもリーマス先輩に拘るのか自分でもよく分からなかったけれど、とにかく聞きたくて。
リーマス先輩はちょっとだけ眉を下げてから口を開いた。

「、僕はオリヴィアの好きな所に入ったらいいと思うよ」
「先輩、」
「でもそうだね、オリヴィアがグリフィンドールに入ってくれたらとっても、うん、一番嬉しいかな」

困ったように苦笑しながら、でも私が一番欲しかった言葉をくれたリーマス先輩に、嬉しくてぎゅっと抱きついてしまった。

「わお!オリヴィアったら意外と大胆だねぇ!」
「リーマスも罪なヤツだ」

前後からジェームズ先輩とシリウス先輩が冷やかしてきてまた顔が赤くなってしまったけど、先ほど以上にほくほくした気持ちでリーマス先輩から離れてそのまま新入生が集まる方に駆け出した。

「私、ぜったいグリフィンドールに入ります!待っててください!」

顔だけ振り返って大きな声で宣言すると先輩達は笑って手を振ってくれた。
リーマス先輩だけはポカンとした顔で固まっていたけれど、私は胸いっぱいの幸せな気持ちのまま足を止めずに手を振り返して、一直線に同級生の元へ走ったのだ。