07

連れてこられた控え室では、試合を終えた選手達が集まって反省会という名の小さな打ち上げパーティが行われていた。
ジェームズ先輩とシリウス先輩の杖の先から紙吹雪が舞い、集中的に狙われた1人の先輩が紙くずまみれになっている。
突然乱入してきた私とリーマス先輩に、選手達はキョトンとした顔でこちらを見た。
一番はやく反応したのはジェームズ先輩だった。

「リーマス?それにオリヴィアも、どうしたんだい?」
「ジェームズ!候補を見つけたよ!」

興奮気味に話すリーマス先輩に、ジェームズ先輩は眼鏡の奥でハシバミ色の目をぱちぱちさせながら先輩と私を交互に見た。

「候補って、まさかオリヴィアかい?確かに素晴らしい飛行技術だって聞いたけど」
「そう!しかも素晴らしいのは飛行技術だけじゃなく目までときた!」
「本当かい!?」

全く何の話かわからないまま会話が進んでいく。
なんで自分がここに居るのかもわからないし、同寮といえどほぼ初対面の上級生達がいる空間に耐えられずササッとリーマス先輩の後ろに隠れた。
すると後ろから肩をポンと叩かれて、振り返るとシリウス先輩がものすごく至近距離に居たものだからびっくりして思わず身を引いたらリーマス先輩の背中に頭をぶつけてしまった。
シリウス先輩のパーソナルスペースは異常だと思う。

「オリヴィア、スニッチが見えたのか?」
「う、は、はい、」
「いつから?」
「えっと、ハッフルパフのシーカーの近くを飛んでる時です、」
「ずっと見えてたのか?」
「はい、あっ!そうだ、シリウス先輩のあれすごかったです!ハッフルパフのシーカーとスニッチの間にブラッジャー打ったの!ジェームズ先輩も最後に横切ったのがすごくて!シーカーの先輩もすごく速いし!、って、、すみません、、」

シリウス先輩の質問に答えていたら忘れていた先ほどの興奮が戻ってきて、上級生の前だというのについ大きな声で感想を叫んでしまい(しかも語録力もない)、途中で気付いて恐る恐るシリウス先輩を見ると、先輩はガシッと私の肩を掴んで選手達の前に押し出した。

「すげぇぞ!これで来年からも安泰だ!」

その言葉に選手達はワッと湧いた。
またも訳がわからず、肩を掴まれたままオロオロしてしまう。
元凶のリーマス先輩に助けを求めるも、先輩は未だにジェームズ先輩と熱く語っている。
どうしたらいいかわからなくて、いい加減涙目になってきた私に最初に話しかけてくれたのは紙くずまみれになっていた先輩だった。

「貴女名前は?」
「、オリヴィア・ウィーズリーです、」
「よろしくオリヴィア。私はシーカーのセシル・アッカーソン、7年生よ」

紙くずをパラパラと取り払った先輩はそう名乗りながらスっと手を差し出した。
ドキドキしながらその手を握る。

「よ、よろしくお願いします、アッカーソン先輩」

何をよろしくするのか検討もつかないが、アッカーソン先輩はアハハッと朗らかに笑った。

「やだ、セシルで良いわよ!」
「セシル先輩、」

涙目の余韻が引かないまま、チラリとセシル先輩の目を見上げながら呼んでみる。
先輩の綺麗なブルーの瞳が私の事をまじまじと見つめると、唐突にガバッと抱きつかれた。
突然の抱擁に口から小さな奇声が出た。

「かわいい!」
「ひゃっ、あ、あの、」
「やだもう!ジェームズやシリウスなんかと仲がいいからどんな変人かと思ってたらめちゃくちゃかわいいじゃない!」

私、変人と思われてたんですか?
そう聞きたいがセシル先輩の胸がぎゅむぎゅむと顔に当たるのでモゴモゴと口を動かすのが精一杯だった。

「セシル、オリヴィアが窒息してしまう」

声と共に両肩を掴まれて後ろに引っ張られるとセシル先輩が若干遠ざかる。
セシル先輩の胸から解放してくれたのはリーマス先輩だ。
ぷはっと息を吸って振り向くと屈んでいた先輩との距離が5センチ位しかなくてさっきと違う意味で息ができない。

「いいじゃないリーマス!だってすごく可愛いんだもの!」
「オリヴィアが可愛いのは認めるけどね」
「というか僕やシリウスと仲がいいからってなんで変人なのさ」
「しかも俺達なんかとって言ったな。なんかってなんだよ、なんかって」
「言葉の通りよ」

私はリーマス先輩の口から可愛いという言葉が出たせいで顔が赤くなるが、そんなことお構い無しに会話が続いていく。
そんなふうに目の前の7年生4人が軽口を言い合っていると、他の選手達に話しかけられた。

「ねぇ、オリヴィアって呼んでもいいかい?」
「は、はい!」

声を掛けてくれた方に向き直ると選手達がニコニコと笑っていて、私も自然と口角が上がる。

「僕は6年のカーリー・ロバンツ。キーパーをしてる。カーリーって呼んでくれ」
「キャサリン・アスカム、ポジションはチェイサーで5年生よ!私、キャサリンって名前嫌いなの。だからキャシーって呼んで!」
「同じくチェイサーで5年生の、ミランダ・ドーキンスです。ミランダと呼んで下さい。よろしくお願いしますね」
「俺はビーターのエドワード・ローウェル、エドでいいよ!3年生だから一番学年も近いし、なんでも聞いてくれ!」

一人ひとり名乗ってもらって、その度によろしくお願いしますと頭を下げ、その後改めて自己紹介をしてから、もう一度最後に頭を下げた。
そして言うならこのタイミングしかないと思い、先程からずっと思ってた事を聞いてみる。

「あの、それで、どうして私はリーマス先輩に連れてこられたんですか?」

すると全員からポカンとした顔を頂いた。
そして最初にカーリー先輩が口を開く。

「あー、聞いてないのかい?その、シーカーの件について、」
「シーカー?、はい、何も、」
「ええ!?そんな!」
「マジで!?」
「何も言わずに連れてくるだなんで、、」

口々に驚きの声を出し、最後にはミランダ先輩が呟くように言いながらチラリと7年生達を見た。
その咎めるような視線を受けたリーマス先輩達がそれに気付いて口早に謝罪を口にする中、セシル先輩だけスっと近付いてきて私の前に屈んだ。
そしてそのぷるりとした綺麗な唇でとんでもないことを言い放った。

「オリヴィア、来年からシーカーよろしくね!」
「、、、え?」
「いや〜よかった、僕達が抜けた後の候補が見つかって!」
「ビーターとチェイサーはいたけどシーカーは居なかったもんな〜」
「「さすがリーマス!」」
「お礼はカエルチョコでいいよ」

両腕をジェームズ先輩とシリウス先輩に組まれ、前からはセシル先輩、後ろからリーマス先輩が両肩に手を置く。

「「「「頼んだよ!最年少シーカー!」」」」

7年生達の布陣の外から「本人の意思も聞きなさいよ!」とか、「可哀想に、強制ではありませんか、、」とか、「嫌なら嫌って言った方が良いぞ?」とか聞こえるけど、八方塞がりの布陣に私は察してしまった。
あっ、これ断れないないやつ、と。





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オリジナルキャラクターが増えたので。


オリヴィア・ウィーズリー
純血大家族の長女。純血とかマグルとかの拘りはない。
礼儀正しいしっかり者。器用。3歳年下の弟が生まれた時からずっと「お姉ちゃん」をしているので年下の面倒を見るのが上手く、忙しい両親に変わってやっていた家事も得意。
基本的に空気は読める方。

ベル・ローダー
シリウスに恋心を抱いている美少女。一人っ子。普段は落ち着いた雰囲気でオリヴィアと一緒に双子の宥め役ではあるが、シリウスが絡むと少し馬鹿。

アマンダ・オルコット
双子の姉。基本的に年頃の女の子らしく妹のエミリアとはしゃぐタイプ。単体で見ると割とおっとりしている。心配性。愛称はアミー。

エミリア・オルコット
双子の妹。双子でいても単体でいてもテンションが高い。恋愛の事になると異常な程の観察眼を発揮する。ベルの恋心に最初に気付いたのはこの人。愛称はエリー。



クィディッチメンバー
(オリヴィア入学時の学年)

シーカー
セシル・アッカーソン(7)
ズバズバ言うタイプ。悪戯仕掛人と仲悪くないけど仲良しではない。巨乳。

チェイサー
ジェームズ・ポッター(7)
キャサリン・アスカム(5)
自分の名前が嫌い。皆にキャシーと呼ばせる。元気。
ミランダ・ドーキンス(5)
お嬢様でお淑やか。常に敬語で話す。冷静。

ビーター
シリウス・ブラック(7)
エドワード・ローウェル(3)
今まで最年少だった為、新最年少のオリヴィアに頼られる先輩になりたい。顔は良い。ヘタレ。

キーパー
カーリー・ロバンツ(6)
物腰柔らか。試合中と普段の性格が違う。彼女がかわいい。


控え選手

チェイサー
レオ・セルウィン(4)
ジェームズ卒業後チームに加入する事が決まっている。ニールとは親友。賢い。

ビーター
ニール・ワーグマン(4)
シリウス卒業後チームに加入する事が決まっている。レオとは親友。優しい。