2話

「佐々木さんはさ、なんでカフェ巡りにハマったの?」

 てっきりコーヒーが好きでカフェ巡りが趣味という僕の勝手な想像と違うから聞いてみたとは言えず、あたかもなんとなくという雰囲気を醸し出す。

「そうだなぁ。強いて言うなら一人でも出来るから、かな」
「一人で……」
「そう。誰かに気を遣うことなく、好きに過ごせるから」

 だって、友達といると疲れるでしょ?と自虐気味に笑った。

「僕は友達じゃないから疲れないってこと?」

 確かに、授業でペアになったときしか話さないし、友達とは言えないと言われればそうかもしれない。どこからが友達っていうラインは人によって違うから難しい。話したことある人は全員友達タイプや、よっぽど親しくないと友達認定が貰えないタイプ。どちらかというと僕は後者の方だ。
だから、佐々木さんの言っていることがわかるような、わからないような。

「うーん。神尾くんはまだ、友達未満」
「これから友達になる可能性はあるってこと?」
「ないしょ」

 しぃっと人差し指を口に当てて小首を傾げてみせた彼女の表情はちょうど日に当たって反射していてよく見えない。どういうことか尋ねようとした、ちょうどその時。