天ヶ瀬冬馬とフィギュアの話
>>過去サイトの拍手御礼再録です。ありがとうございました!
「すご……ねえ本当にすごいよ……」
「だろ!細かいところまで作り込んであってさ……ほらこことか……ここも……」
冬馬くんの立体化の打診が来た時、いちばん喜んだのは何を隠そう本人だった。やっぱり無闇に手を出すよりは完全にプロに作ってもらったやつの方が出来も良くてファンも喜ぶだろ……だなんて言って、クールに振る舞いつつも本人がいちばん楽しみにしていた。フィギュアの業界にはその人やキャラクターを知らなくても出来が良ければ買うという層があるらしくて、いちファンという面でも冬馬くんは燃えていた。
そして今日、お披露目会をひとりで散々楽しんだ後に私にもお披露目してくれたというわけである。すごい。フィギュアの詳しいことはわからないなりにも溝!切れ込み!髪の一筋!!どこを取っても完成度の高さに圧倒される。顔がいい!と感激したら冬馬くんは至極当然とでも言うように頷いた。
「フィギュアは細かいところの再現度とか指先毛先みたいな小さいパーツの表現、全体のバランスも大事だけどやっぱり顔の出来は1番見られるところだからな……これは惚れ惚れする出来だよな!」
自分のお顔のことでこんなにはしゃぐ冬馬くんを見たことがないのでなんだか不思議な感じがする。しかし素人ながらお顔の良さはわかる。
「本当にすごいよね、お顔もうわ!!冬馬くんかっこいい!ってなるしおへその位置まで完全再現、あとお腹の筋!腰の細さも厚みもなにもかも完璧……!はあ至高……!!あの天ヶ瀬冬馬をお家にお迎えできるなんて……」
「見てるポイントがアレなんだよな……」
冬馬くんに恒例のジト目で見られても私はこの傑作へのリスペクトをやめるつもりはない。いちファンとしてようやく……ようやく天ヶ瀬冬馬を自宅にお迎えできるなんてこの喜び……噛み締めずにはいられない。
「俺だっていつも家入ってるだろ」
「四六時中天ヶ瀬冬馬が家にいるんだよ!別ものだよ。あっ冬馬くんお迎えするならお部屋の掃除しなくちゃ!春香ちゃんのお隣にお迎えしてもいいかな?」
「俺が行くときは掃除しねえのに!」
「だって現物は来るとお掃除手伝ってくれるし」
っていうかあま、天海の隣かよ……とめちゃくちゃ照れていて可愛い。個人的な趣味で集めて女の子アイドルフィギュアを集めているのだが、そのコレクションコーナーについに!弊社の推しがくる!我が家のテレビ台にはいおりん(フィギュアの背が低いからテレビを邪魔せずいおりんも見れて最高)がいて、本棚の空きスペースにはねそべる百合子たん、そして鑑賞スペースにはまゆちゃん、ゆきまこちゃんコンビ、千早ちゃん、そしてはるるんがいる。そこについにあまとうがくる!最高!でもちょっと既にぎゅうぎゅうなんだよなあと言うと、冬馬くんは我が家のコレクションコーナーを思い出して眉をひそめた。
「たしかにあの辺にはもう入らねえな」
「そうなんだよね。冬馬くんが作ってくれたガンダムもいるからな……しかし地震きたら困るな〜」
わたしの決して広いとは言えない賃貸はそろそろ満員で、ピエールと四季のフィギュアは仕事関係ということで許されるかな許してほしいなと思って事務所のデスクに置いてある。業務中に癒されるのでとても良い。そうなると、冬馬くんも事務所コースかな。
「あっ寝室!寝室に置こう!」
「寝室……」
冬馬くんはめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。最近あんまり見なくなった心底ありえねえという気持ちを表現するときの表情だ。
「いいじゃん。おはようとおやすみを天ヶ瀬冬馬に見守ってもらう生活。至高だよ」
「泊りにいく俺の気持ちも考えてくれねえかな」
「ああ、あまりに出来が良すぎて視界に入ると興奮して眠れない?」
「あんたわかって言ってんだろ!?」
そうかそうか、たしかにおはようとおやすみの間も冬馬くん(立体)の目があるのはお泊まりに来た時の諸々を考慮してもお互いちょっと困るな……
「まあでも、俺の目?があることであんたがちゃんとした生活をするようになるってのならどこに置かれても悪くはねえな。そこそこ自炊するようになるとか、俺がいなくても早く寝るようになるとか」
「ああ、キッチンか……キッチンは油飛ぶからケース買わなきゃ……」
「今度の休みに見に行こうぜ」
「本当?任せた」
あんまり反射しなくてお顔がよく見えるやつがいいなあと注文をつけると任せとけ、と頼もしい返事。そう、せっかくのカッコいいお顔なんだからいっぱい堪能しなくちゃ。ああ!!おうちに天ヶ瀬冬馬スケールフィギュアのいる生活!!楽しみだなあ!私の心からの言葉に冬馬くんは誇らしそうに胸を張った。
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